ザ・シューター/極大射程(2007)
◆ストーリー
国家にハメられた凄腕スナイパーが裏切り者どもに怒りのスナイプを叩きつける!
主人公ボブ・リー・スワガー(マーク・ウォールバーグ)は優秀な狙撃主であったが、アフリカでの狙撃戦で味方に見捨てられ、相棒を失ったことで戦争に嫌気がさして山奥で静かに暮らしていた。
しかし、静寂は一時のものであった。海兵隊大佐(ダニー・グローヴァー)が彼を訪ね、大統領暗殺計画を阻止する協力をしてほしいと依頼してきたのだ。
見事犯行計画をシミュレーションし、狙撃現場の目星をつけたスワガーであったが、大統領への狙撃は決行され、スワガーも襲撃された。スワガーは大佐にハメられたのだ!
大統領狙撃犯として、国家から狙われるスワガー。命がけの逃避行をするハメになるが、当のスワガーは殺る気マンマンである。二度も裏切られたツケはきっちり返しておかないとな!
もうこの手のコマンドアクションに傑作はそうそうでないだろうと思ってて、スルーしていたら、ジェイソン・ボーンシリーズがいつの間にか持てはやされていて、完璧に見逃してしまってた自分としてはなんだか悔しい思いがしておりました*1。今度のランボーの新作も、なんだか凄そうなので楽しみにしてます。
で、現在公開中の『ザ・シューター/極大射程』。極大射程なんて、なんだかとっても男の子臭い四文字サブタイトルに惹かれて観にいっちゃいましたよ。
今は夏の大作ラッシュ。蜘蛛男3に海賊3、300に大日本人といった大物が観客をかっさらっていったのか、久しぶりのスカスカ劇場で鑑賞となりました*2。席の位置を選べるっていいねえ。
内容はなんか色々理屈を捏ねていたけど、結局正義の殺し屋が越後屋と悪代官をぶち殺すという、とても観客に優しいプロットで楽しめました。ぼく、ジャック・ライアンシリーズで寝ちゃうもんね!
最初は2kmの超遠方射撃を可能にするっていうワクワクする出だしだったけど、途中からランボーみたいなサバイバル&殺戮って感じになってスナイプから離れていくのが不安でした(このサバイバルが、また妙に面白い)。クライマックスは敢えて罠に飛び込んで狙ってくる敵を逆にスナイプしまくる燃える展開で安心しました。ホントに狙ってるのかよっていう短いインターバルで次々と標的を仕留めていく。
賛否両論のラストですが、確かにこれまでの流れと異なるエレガントじゃない、あまりにも一方的で野蛮な殺戮だったと思います。マーク・ウォールバーグってなんか美学もってそうだったしね。スタローンみたいに汗だくだくじゃないし、雄たけびあげないし。
ブラック・サンデー(1977)
- 出版社/メーカー: パラマウント ジャパン
- 発売日: 2007/04/27
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◆ストーリー
イスラエル特殊部隊員のカバコフ(ロバート・ショウ)はパレスチナのテロリスト・グループ「黒い9月」を殲滅した。アジトを襲撃し、全滅に追い込んだのだが、カバコフはそこで一人の女を見逃した。
その女こそがテロリストのリーダー、ダーリヤ・イヤッド(マルト・ケラー)だ。特殊部隊の襲撃から生き延びた彼女はアメリカに上陸。死んでいった仲間達のために、壮大な大量殺戮を計画するのだ。舞台はアメリカ最大のイベント、スーパーボール。
恐るべき執念と行動力を持ったカバコフとダーリヤ。命がけの駆け引きが2時間半にわたって繰り広げられる。
「RONIN」、「大列車作戦」などなど、骨太なアクションで知られるジョン・フランケンハイマーの代表作。当時はなぜか公開中止。去年に晴れてDVD化されました。
で、これが面白い面白い。最近90分の映画じゃないと長く感じる僕にとって、とりわけアクションなんて長くするもんじゃないと思ってるんですが、これは2時間半持たせますね。
前半のカバコフとダーリヤの前哨戦。前哨戦だけあって、決して派手ではないんですが、なんとか隙を見て相手を殺そうとするお互いの隠密行動が燃えますね。女テロリストのダーリヤがいいんですよ。序盤こそカバコフに寝首をかかれて殺されそうなところを見逃されるし、アジトから着の身着のままで逃げ出す醜態を見せるのですが、この人、アメリカに上陸してから鬼になります。テロ達成のために敵から協力者、第三者も次々と暗殺していきます。実態は、カバコフにどんどん追い詰められ、切羽詰ったヤケクソなんですが、このどん詰まり感がいいんですよ。
この映画、テロリスト側を描いている場面が多いんですが、自爆テロという全く想像力の及ばない行為を、追い詰められるテロリストのヤケクソと描くことで説得力を持たせている。やっぱ、人間の行動の半分くらいはヤケクソだよな!
ヤケクソといえば、中盤から急に存在感を増していくテロリストの協力者、ランダー(ブルース・ダーン)がいい!この人、アメリカ人でそれも元軍人さんなんですが、数々の勲章を受けたのに、冷遇されている現状に全然納得いかなくて、「俺を馬鹿にした奴ら、全員見返してやるコノヤロウ!」という歪んだ熱意でテロリストに協力するダメ人間なんですねえ。
このランダー君がテロ計画を引っかきまわす後半がすごくいい!
ランダー君、今でこそTV局の飛行船運転士としてくすぶっていますが、勲章を数多く受けただけあって、多くの才能をもってテロ計画に協力します。飛行船の運転だけではなく、爆弾だって作っちゃう。この爆弾を作ってるランダー君の楽しそうなこと。爆弾をテストする場面では浮かれてキャッキャと騒いでいます。挙句の果てにダーリヤに「僕のよさを分かってくれるのは君だけだようおう」と泣きつきます。今まで余程不満を溜めていたのねえ。
こんなランダー君が計画の足を引っ張らないわけがなく、ダーリヤを追い詰め、いよいよ引っ込みのつかないクライマックスへと向かっていきます。スーパーボールに飛行船!DVDのジャケットでは飛行船がスタジアムに突っ込んでる凄い絵になってますが、期待を裏切りません。
やっぱり昔のアクションってすごかったのね。
SNSよりブログがすき
なんと!気がついたら二ヶ月も更新してなかった!
三月は期末で働き詰めだったから更新できなかったけど、
そろそろ落ち着いてきた昨今も更新してないのは、
これはやはり習慣がパッタリ途絶えてしまったからでしょうね。
この2ヶ月でいろいろあったし、
面白い映画もいくつか見たので、
ぼちぼち再発進します。
ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!(1999)
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◆ストーリー
とある種類の人を揶揄する表現として、「生徒会長タイプの人」ってのがあります。これ、大抵いい意味で用いられることはありませんね。この映画の主人公トレイシー・フリック(リース・ウィザースプーン)は、まさに嫌われ者の優等生。成績優秀、授業でも積極的に発言、生徒会委員や学園TVレポーターといった学内活動だけではなく、ボランティア活動など学外活動も盛ん。そんなトレイシーの現在の目標は生徒会会長。もちろん会長選挙には真っ先に立候補した。トレイシーには向かうところ敵なし、他に立候補者もなし。
しかし、トレイシーはまずい人間を敵に回してしまった。生徒会顧問教師、ジム・マキャリスター(マシュー・ブロデリック)だ。マキャリスターは前々からトレイシーの良い子ぶりを苦々しく思っていたが、悪意と敵意を持つに至る決定的な事件があった。トレイシーはマキャリスターの親友をたぶらかして、退職に追い込んでしまったのだ!
マキャリスターはムリヤリ対抗馬を仕立て上げる。アメフト部のキャプテンで皆から絶大なる人気を得ているポール・メッツァ(クリス・クライン)*1だ。そして、ポールはアホだった。おまけに足を骨折しており、目標を見失っている。これは操り易い!早速、ポールを呼び出して、生徒会長に立候補しないか誘いかけてみた。マキャリスターの勧誘文句の半分も理解していなかったみたいだが、納得してもらえたようだ。覚えてろトレイシー!ぶっ潰してやる!
そして、騒動は生徒会選挙に向け、どんどんヒートアップしていく。新たな立候補者が!マキャリスターの家庭に問題が!ノイローゼになるトレイシー!
果たして勝つのはトレイシーか、ポールwithマキャリスターか!?
優等生が嫌いだー、きらいだー、キライダー!
協調性が求められ、出る杭は打たれる学園生活において、ある意味最もロックな存在ともいえる彼ら、彼女らなんですが、僕は嫌いでした。でしたというか、嫌いです。怠け者でモラルの欠けたメディアをケラケラ喜ぶ僕を常に糾弾してくるのです。モラルと努力を振り回すんじゃねぇ!わめくんじゃねぇ!と思います。
アメリカ学園映画でもチア・リーダー、フットボールのキャプテンと並んで悪役に描かれがちな優等生。しかし、トレイシーを演じたリース・ウィザースプーンは、この映画でスターにのし上がりました。なんで?優等生ヒールって普通に嫌なやつじゃん。カート・アングルみたいなアホっぽい優等生やってたのかな?と疑問に思ってたわけです。
蓋を開けてみたら、リース・ウィザースプーンはやっぱりキュートでした。すごいわ、この人。マキャリスター視点の前半では、もうこれでもかってくらい嫌な奴なんだけど、リース視点が挟み込まれる中盤からは、もうがんばりっぷりが健気でねえ。選挙当日には生徒全員分のカップケーキを用意するわけさ。友達少ないから、学校中に貼るポスターも自分で作って貼るわけよ。でも人手が足りないから、貼れる数も限られてくるわけよ。急いで貼ったりするから、貼り方が丁寧じゃなくて、ぺろーんってはがれたりもするのよ。これに対して人気者のポールのポスターがバシバシ貼られてるのをみてやるせなくもなるわけさ。どうしようもなく能天気で空気の読めないポールは、素直でいいやつなんだけど、奴が勝つのは間違ってるだろうと思っちゃうわけよ。親父のお小遣いで車をもらっちゃったお金持ちで人気者のポールに対するトレイシーの視線が鋭い!本当に鋭い!
そして、この映画の白眉はやっぱり、我らがフェリス*2!マシュー・ブロデリックだ!久しぶりの学園映画なので、張り切ってシャワー浴びまくりだぜ。この映画、中年になったフェリスと考えるとすっごい空しくなる映画ですね。カッコ悪すぎだよ、マキャリスター先生!トレイシーを嫌うのはわかるけど、露骨過ぎる。「ラストでペプシ・コーラをトレイシーに投げつける」シーンなんて、最高だ!いや、大人として最低だ!中年がいろんな女の子に悶々するのもすげーカッコ悪いぞ!教師が学園ものAVを見るなんていけません!最高だ!いや、大人として最低だ!
フェリスと重ね合わせると本当に空しいんだけど、絶対に狙ってる。昔から顔変わってないし、シャワーシーンがやたらと多用されてる。先生になったら、晴れたからといって授業サボって出かけちゃいけないんです!
No.1じゃないと意味がないという上昇志向と、優等生に対するひがみを同時に皮肉った快作です。この映画はもう一人キーパーソンが出てきますが、この子のエピソードがまた最高なんだ。これは実際に見てみて欲しい。
2007年に見た映画暫定一位にしておきます。
*1:最初キアヌ・リーブスかと思ったよ。『アメリカン・ドリームズ』にも出てたけど、ここでも筋肉バカで人から利用されるお人よしを演じてた。
*2:『フェリスはある朝突然に』。マシュー・ブロデリックの代表作。最高の学園映画なので見てね。
フェリスはある朝突然に(1986)
フェリスはある朝突然に スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
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◆ストーリー
おはよう!外はすごくいい天気だ!こんな日は学校になんか行ってられないね!
彼女(ミア・サラ)を連れてシカゴの街に遊びにいこう!
キャメロン・フライ(アラン・ラック)は確か病気で寝込んでるはずだから連れ出してやろう!
なんて痛快なんだ!
カッコよくて、人気者で、頭がよくて、いいやつ!
学校サボりまわし、校長をキリキリ舞いさせる*1ヒーローが主人公フェリス(マシュー・ブロデリック)がこの映画の主人公です。フェリスほどじゃなくても、思わず憧れる学校の人気者っていたよね。
フェリスはオープニングでシャワー浴びて出かける仕度をしながら、ずっとカメラ目線で話しかけてくるんだけど(オープニングに限らず、フェリスはやたらと観客に向かって話しかけてくる)、ひたすら自分語りをすることで世界観に巻き込んでくるのね。映画の構成は自由気ままなフェリスに周りの人間が巻き込まれていく形になってるんだけど、巻き込まれた皆がハッピー。真面目だけど不器用なフェリスの妹は最後までフェリスを妬んでるけど、最後にはちょっとした冒険にめぐり合うし、憂鬱なキャメロンはひたすらフェリスに尻を叩かれ、ついに自立して生きようと決意する。
特にこの映画で重点を置かれてるのはキャメロンとフェリスの友情で、憂鬱で何もかも面白くなさそうなキャメロンをフェリスが必至に楽しませようとしてる場面が多い。道中、時々口論しながらも仲良くやってる二人を見ると、ああ、親友っていいなあと思う。フェリスの彼女のミア・サラはとっても美人なんだけど、わりと影が薄くて、いつの間にか憂鬱なキャメロンを慰める役割になってる。学園のヒーローよりもキャメロンの方がずっと感情移入しやすくて、僕はいつの間にかキャメロンと一緒にフェリスの冒険にハラハラすることになるんだ。
退屈な日常を壊してくれる人気者をヒーローと呼ぶんだけど、この映画を観ると、なんで彼らが愛されるのかよくわかるし、フェリスの振りまくポジティブな世界はクライマックスに向けて心をウキウキさせてくる。
そして、クライマックス、パレードに紛れ込んでフェリスが歌い、踊る!親友のキャメロンに捧げる歌はビートルズの"Twist & Shout"!!シカゴ中が大合唱する最高にご機嫌なミュージカルシーンでした。
「卒業してしまうと僕らは離れ離れだ、今を楽しまなきゃ」と、観客に向けて独白するフェリスの言葉にはぐっとくる。学生時代の刹那的な楽しさ。焦るかのような活動力をフェリスは凝縮してるんだね。
龍が如く 劇場版(2007)
◆内容
切れたチンピラ二人がメッチャ戦う。
原作ゲームはひっさしぶりのゲームだったわけだけど、操作簡単だったし、面白かった。主人公のヤクザ、桐生一馬が北斗の拳状態で、街のチンピラをなぎ倒すのは爽快だった。また街のチンピラがみんなせこくてよかったんだよな。
で、映画ですが、やりやがった、三池崇史!またDOAかよ!
ゲームやってなかったら到底ついていけない説明不足な展開だったけど、ベタ過ぎるメインストーリーをバシバシすっとばしていったのは正解。クドクドクドクド物語を進めていくが終盤(真島吾朗と最後の闘いを終えたあたり)から突然プッツンきて、意味のないヘリの超低空飛行(低すぎて神室町ビル群のガラスをバリバリ割っていく。)や、意味のない死、ギャグ以外の何者でもないラストバトルに、広げただけで回収されないサブストーリーなど、どうにもヤケクソな展開になってくる。元々、ゲームはメインストーリーじゃなくて、神室町をぶらぶら歩いて、たっくさんのサブストーリーを楽しむ雰囲気重視の作品であったため、100億云々の話はふっとばしても別によかった*1。
この映画をコメディにしたのも正解。神室町はヤクザやギャングがウジャウジャ闊歩していて、堂々と喧嘩が繰り広げられる無法地帯。多分、うちの田舎の親父が想像する歌舞伎町ってこんなだと思うんだけど、あんまりにも荒唐無稽なので、コメディがちょうどいい。劇場が終始シーンとしてたので、ジャンル分けには不安があるけど、これ、コメディでいいんだよね?ゲームのシステムの一つであったヒートアクションを本当にそのまんま演出したのは笑った。犬が異次元から湧いて出てくるとことか、高岡早紀関連シーン全部とか笑うとこだよね。
で、結局面白かったのかどうかというと、つまらなかったんですよ。バカとヤケクソをわざとやってる理性的なニオイがプンプンする。いや、どんなバカ映画もわざとやってるんだけど、この映画だと作為的な感じが強いのですよ。
原作はサブストーリーを潰していくやりこみ要素が強いだけに、このゲームを愛する人たちってのはゲームの細部に対するこだわりは強いと思うんだけど、監督の三池崇史が「ゲームのためにクリアした」って発言は、な〜んかいいかげんな愛を感じ、受け入れがたい。クリアしただけ?みたいな。
愛に溢れた暴走映画でもなく、商業主義に徹したプラスチックな映画でもない。三池崇史、なにがしたかったんだようおう。
この映画の大ヒール、真島吾朗を演じた岸谷五朗は失敗。セリフがセリフに聞こえる。セリフや演出は悪くないだけに、はじけきれてなかったのが残念。元々人間離れしたキャラクターだから、演じるのは難しいと思うけど。
あと、監督は原作ゲームファンへの配慮として、原作に出てた店名や商品を出すだけでいいと思ってるでしょ。強盗を繰り広げる若者二人が出てくるんだが、彼らの役割は原作に出てた店をなぞっていくことにある。こんな露骨で節操のない三池イエローに、ファンは怒っていいと思う。どうせならドンキもそのまんまだ出すべきだったと思う。
*1:100億が盗まれた理由は「男と女の事情」という一言で説明される。なんだよそれ!
ちょっとタンマ!
これからひと月、ほとんど更新がないかもしれません。
映画は時々見てます。
ではでは!