龍が如く 劇場版(2007)

violent_jef2007-03-08

◆内容
切れたチンピラ二人がメッチャ戦う。

 原作ゲームはひっさしぶりのゲームだったわけだけど、操作簡単だったし、面白かった。主人公のヤクザ、桐生一馬北斗の拳状態で、街のチンピラをなぎ倒すのは爽快だった。また街のチンピラがみんなせこくてよかったんだよな。
 で、映画ですが、やりやがった、三池崇史!またDOAかよ!
 ゲームやってなかったら到底ついていけない説明不足な展開だったけど、ベタ過ぎるメインストーリーをバシバシすっとばしていったのは正解。クドクドクドクド物語を進めていくが終盤(真島吾朗と最後の闘いを終えたあたり)から突然プッツンきて、意味のないヘリの超低空飛行(低すぎて神室町ビル群のガラスをバリバリ割っていく。)や、意味のない死、ギャグ以外の何者でもないラストバトルに、広げただけで回収されないサブストーリーなど、どうにもヤケクソな展開になってくる。元々、ゲームはメインストーリーじゃなくて、神室町をぶらぶら歩いて、たっくさんのサブストーリーを楽しむ雰囲気重視の作品であったため、100億云々の話はふっとばしても別によかった*1
 この映画をコメディにしたのも正解。神室町はヤクザやギャングがウジャウジャ闊歩していて、堂々と喧嘩が繰り広げられる無法地帯。多分、うちの田舎の親父が想像する歌舞伎町ってこんなだと思うんだけど、あんまりにも荒唐無稽なので、コメディがちょうどいい。劇場が終始シーンとしてたので、ジャンル分けには不安があるけど、これ、コメディでいいんだよね?ゲームのシステムの一つであったヒートアクションを本当にそのまんま演出したのは笑った。犬が異次元から湧いて出てくるとことか、高岡早紀関連シーン全部とか笑うとこだよね。
 で、結局面白かったのかどうかというと、つまらなかったんですよ。バカとヤケクソをわざとやってる理性的なニオイがプンプンする。いや、どんなバカ映画もわざとやってるんだけど、この映画だと作為的な感じが強いのですよ。
 原作はサブストーリーを潰していくやりこみ要素が強いだけに、このゲームを愛する人たちってのはゲームの細部に対するこだわりは強いと思うんだけど、監督の三池崇史が「ゲームのためにクリアした」って発言は、な〜んかいいかげんな愛を感じ、受け入れがたい。クリアしただけ?みたいな。
 愛に溢れた暴走映画でもなく、商業主義に徹したプラスチックな映画でもない。三池崇史、なにがしたかったんだようおう。
 この映画の大ヒール、真島吾朗を演じた岸谷五朗は失敗。セリフがセリフに聞こえる。セリフや演出は悪くないだけに、はじけきれてなかったのが残念。元々人間離れしたキャラクターだから、演じるのは難しいと思うけど。
 あと、監督は原作ゲームファンへの配慮として、原作に出てた店名や商品を出すだけでいいと思ってるでしょ。強盗を繰り広げる若者二人が出てくるんだが、彼らの役割は原作に出てた店をなぞっていくことにある。こんな露骨で節操のない三池イエローに、ファンは怒っていいと思う。どうせならドンキもそのまんまだ出すべきだったと思う。

*1:100億が盗まれた理由は「男と女の事情」という一言で説明される。なんだよそれ!