フェリスはある朝突然に(1986)

フェリスはある朝突然に スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

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◆ストーリー
おはよう!外はすごくいい天気だ!こんな日は学校になんか行ってられないね!
彼女(ミア・サラ)を連れてシカゴの街に遊びにいこう!
キャメロン・フライ(アラン・ラック)は確か病気で寝込んでるはずだから連れ出してやろう!

 なんて痛快なんだ!
 カッコよくて、人気者で、頭がよくて、いいやつ!
 学校サボりまわし、校長をキリキリ舞いさせる*1ヒーローが主人公フェリス(マシュー・ブロデリック)がこの映画の主人公です。フェリスほどじゃなくても、思わず憧れる学校の人気者っていたよね。
 フェリスはオープニングでシャワー浴びて出かける仕度をしながら、ずっとカメラ目線で話しかけてくるんだけど(オープニングに限らず、フェリスはやたらと観客に向かって話しかけてくる)、ひたすら自分語りをすることで世界観に巻き込んでくるのね。映画の構成は自由気ままなフェリスに周りの人間が巻き込まれていく形になってるんだけど、巻き込まれた皆がハッピー。真面目だけど不器用なフェリスの妹は最後までフェリスを妬んでるけど、最後にはちょっとした冒険にめぐり合うし、憂鬱なキャメロンはひたすらフェリスに尻を叩かれ、ついに自立して生きようと決意する。
 特にこの映画で重点を置かれてるのはキャメロンとフェリスの友情で、憂鬱で何もかも面白くなさそうなキャメロンをフェリスが必至に楽しませようとしてる場面が多い。道中、時々口論しながらも仲良くやってる二人を見ると、ああ、親友っていいなあと思う。フェリスの彼女のミア・サラはとっても美人なんだけど、わりと影が薄くて、いつの間にか憂鬱なキャメロンを慰める役割になってる。学園のヒーローよりもキャメロンの方がずっと感情移入しやすくて、僕はいつの間にかキャメロンと一緒にフェリスの冒険にハラハラすることになるんだ。
 退屈な日常を壊してくれる人気者をヒーローと呼ぶんだけど、この映画を観ると、なんで彼らが愛されるのかよくわかるし、フェリスの振りまくポジティブな世界はクライマックスに向けて心をウキウキさせてくる。
 そして、クライマックス、パレードに紛れ込んでフェリスが歌い、踊る!親友のキャメロンに捧げる歌はビートルズの"Twist & Shout"!!シカゴ中が大合唱する最高にご機嫌なミュージカルシーンでした。
 「卒業してしまうと僕らは離れ離れだ、今を楽しまなきゃ」と、観客に向けて独白するフェリスの言葉にはぐっとくる。学生時代の刹那的な楽しさ。焦るかのような活動力をフェリスは凝縮してるんだね。

*1:監督は後に『ホーム・アローン』を撮るジョン・ヒューズですが、校長や親を様々なテクニックで撃退するくだりは『ホーム・アローン』とそっくりです