ブラック・サンデー(1977)

ブラック・サンデー [DVD]

ブラック・サンデー [DVD]

◆ストーリー
 イスラエル特殊部隊員のカバコフ(ロバート・ショウ)はパレスチナのテロリスト・グループ「黒い9月」を殲滅した。アジトを襲撃し、全滅に追い込んだのだが、カバコフはそこで一人の女を見逃した。
 その女こそがテロリストのリーダー、ダーリヤ・イヤッド(マルト・ケラー)だ。特殊部隊の襲撃から生き延びた彼女はアメリカに上陸。死んでいった仲間達のために、壮大な大量殺戮を計画するのだ。舞台はアメリカ最大のイベント、スーパーボール。
 恐るべき執念と行動力を持ったカバコフとダーリヤ。命がけの駆け引きが2時間半にわたって繰り広げられる。

 「RONIN」、「大列車作戦」などなど、骨太なアクションで知られるジョン・フランケンハイマーの代表作。当時はなぜか公開中止。去年に晴れてDVD化されました。
 で、これが面白い面白い。最近90分の映画じゃないと長く感じる僕にとって、とりわけアクションなんて長くするもんじゃないと思ってるんですが、これは2時間半持たせますね。
 前半のカバコフとダーリヤの前哨戦。前哨戦だけあって、決して派手ではないんですが、なんとか隙を見て相手を殺そうとするお互いの隠密行動が燃えますね。女テロリストのダーリヤがいいんですよ。序盤こそカバコフに寝首をかかれて殺されそうなところを見逃されるし、アジトから着の身着のままで逃げ出す醜態を見せるのですが、この人、アメリカに上陸してから鬼になります。テロ達成のために敵から協力者、第三者も次々と暗殺していきます。実態は、カバコフにどんどん追い詰められ、切羽詰ったヤケクソなんですが、このどん詰まり感がいいんですよ。
 この映画、テロリスト側を描いている場面が多いんですが、自爆テロという全く想像力の及ばない行為を、追い詰められるテロリストのヤケクソと描くことで説得力を持たせている。やっぱ、人間の行動の半分くらいはヤケクソだよな!
 ヤケクソといえば、中盤から急に存在感を増していくテロリストの協力者、ランダー(ブルース・ダーン)がいい!この人、アメリカ人でそれも元軍人さんなんですが、数々の勲章を受けたのに、冷遇されている現状に全然納得いかなくて、「俺を馬鹿にした奴ら、全員見返してやるコノヤロウ!」という歪んだ熱意でテロリストに協力するダメ人間なんですねえ。
 このランダー君がテロ計画を引っかきまわす後半がすごくいい!
 ランダー君、今でこそTV局の飛行船運転士としてくすぶっていますが、勲章を数多く受けただけあって、多くの才能をもってテロ計画に協力します。飛行船の運転だけではなく、爆弾だって作っちゃう。この爆弾を作ってるランダー君の楽しそうなこと。爆弾をテストする場面では浮かれてキャッキャと騒いでいます。挙句の果てにダーリヤに「僕のよさを分かってくれるのは君だけだようおう」と泣きつきます。今まで余程不満を溜めていたのねえ。
 こんなランダー君が計画の足を引っ張らないわけがなく、ダーリヤを追い詰め、いよいよ引っ込みのつかないクライマックスへと向かっていきます。スーパーボールに飛行船!DVDのジャケットでは飛行船がスタジアムに突っ込んでる凄い絵になってますが、期待を裏切りません。
 やっぱり昔のアクションってすごかったのね。