片腕カンフー対空飛ぶギロチン(1975)

片腕カンフー対空飛ぶギロチン [DVD]

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■ストーリー
 前作『片腕ドラゴン』で清朝の誇る凄腕の刺客が二人倒された。倒したのは片腕ドラゴン(ジミー・ウォング)。片腕を失いながらも拳法の達人を倒すまでに強くなった片腕ドラゴンは道場を開いて師父として落ち着いていた。
 そんな片腕ドラゴンを許さないのが、刺客の師匠にして、清朝最強の暗殺者。空飛ぶギロチンを操る男、封神(クム・カン)であった。
 ところで、中国では天下一武道会が開催されており、片腕ドラゴンも見学に出向いていた。空飛ぶギロチンも片腕ドラゴンが出場していないか忍び込んでいる。ここで繰り広げられたのは、ムエタイ、ヨガ、棒使い、三節昆、トンファー、モンゴル相撲、猿拳、鶴拳といった、様々な拳法が集うドリームなイベントだった。途中でギロチンがぶち壊すんだけどね。空気読め!

 昔、ストリートファイター2が映画化されましたよね。あれは残念な映画でしたね。何が残念って、波動拳がでないんですよ!ダルシムの手が伸びないんですよ!エドモンド本田が飛ばないんですよ!観客が何を求めてるのか、わかってないんですねえ。稚拙なCGでもいいからサマーソルトみたかったよ!
 この点、この映画はえらいですよ。ムエタイは試合前になぜかムエタイな音楽が流れるし、ヨガ使いはきちんと手が伸びるんです。そうだよ、これが見たかったんだよ!これは映画として、ものすごく正しい!拳法の達人は水の上を歩き、重力だって無視できる*1!娯楽映画とはこうでなくては。ギロチンも片っ端から首を借りまくります。片腕と見るや、あっという間に首を切ってしまうせっかちさんで、「片腕は皆殺しだ!」と大陸的な視点で暴れまわります。素晴らしい。
 映画のほとんどが格闘シーンで占められており、どのキャラクターも存分に暴れまわっている素晴らしい内容です。全編が見せ場ってこういうことを言うんでしょうね。ヨガの手が伸びたときは本当に感動しました。まさか本当に伸びるとは思わなかった。しかし、なんでヨガ=体が伸びるというイメージになるのだろうか。みんながインド人に抱くイメージって同じなんだね!
 主人公は笑ってしまうぐらい存在感がないんですが、クライマックスでの卑怯っぷりは注目に値します。この人、基本的に拳法じゃなくて罠で勝つんですね。ムエタイとの戦いなんて、ただの拷問だよ!
 娯楽に徹した格闘映画はかくあるべし!ガチとかヤオとか、ヌルヌルするとかしないとか、世知辛い世の中ですが、これをみてスッキリしましょうよ。

*1:今や、格闘映画のグローバルスタンダード