麻雀放浪記(1984)
- 出版社/メーカー: 角川ヘラルド映画
- 発売日: 2006/10/20
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◆ストーリー
終戦直後、東京。学校に行かず、ぶらぶらしていた坊や哲(真田広之)は、戦前、賭博を教えてもらった傷痍軍人の上州虎(名古屋章)につれられて、チンチロリンに向かう。坊や哲は、そこにいた物々しい雰囲気の男にあわせて賭けを張り大勝ちする。男はドサ健(鹿賀丈史)と呼ばれる賭博打ちで、惹かれるところもあり、共に賭場を歩き回ることもあったが、ドサ健の勝負と金に対するえげつなさに引いてしまい、坊や哲はドサ健から距離を置くようになる。
次に坊や哲が出会った賭博打ちは出目徳(高品格)と呼ばれる老人だった。背中が丸くなっており、小太りで、表情もぼんやりとしたパッとしない男だが、雀荘で勝ちに勝ちまくる。坊や哲も太刀打ちできなかったが、出目徳は坊や哲の腕を見込んで二人組みのイカサマ麻雀に誘ってくる。高い技術の要求されるイカサマであったが、それだけに勝ちまくり、二人は雀荘を荒らしまわった。
ここで出目徳は勝負をかける。いま、上野で最も羽振りを利かせているカリスマ雀師を叩き潰し、大金をせしめようというわけだ。この上野のカリスマ雀師というのが、あのドサ健であった。彼もまた、この世界でのし上がってきていたのだ。
戦前の大物雀師、出目徳と戦後のカリスマ雀師、ドサ健の対決。
そして、この勝負は雀師の破滅的で刹那的な生き様を紡ぐ物語の幕開けでもあった。
これも角川映画。イラストレーターの和田誠監督で、原作は阿佐田哲也による同名小説の青春編。漫画化もされましたね。というか、マンガのほうを先に読んでたので、てっきり哲也が妖怪じみた雀師たちをバッタバッタなぎ倒す映画かと思ったら、哲也はただの狂言回しでした。
前半こそ、一癖も二癖もあるドサ健や出目徳には翻弄され、クラブのママ(加賀まりこ!)にはぞっこん惚れちゃって自分を見失うなど、坊や哲の青春物語の要素もありましたが、ドサ健と出目徳が戦う後半からは、完全にドサ健の物語になってしまってます。賭け事に取り付かれ、文字通り命がけで勝負に挑もうとするドサ健の生き様は全く共感できないのに、すげー魅力的。明らかに常人の倫理や道理を踏み外してるんだけど、筋が通ってるし、映画ではきちんと説明されてる*1。
勝負をする大金を集めるために、文字通り女房(まゆみ:大竹しのぶ)を質に入れるような最低男ドサ健、そこまで非道な扱いを受けてもドサ健にほれ込み離れられないまゆみ。この二人の明るい未来が見えません的ブルースがカッコいいんですわ。
しかし、この手の物語って男くさいですね。女子供はでてこないし、女は男に都合のいい存在だったりします。男のわがままが全部ふりかかってくるまゆみは悲惨な役どころなんだけど、これをひたすらけなげで可憐な存在として演じた大竹しのぶはやっぱり凄いなあ。でもMVPは高品格*2。