キューティー・ブロンド(2001)

キューティ・ブロンド〈特別編〉 [DVD]

キューティ・ブロンド〈特別編〉 [DVD]

■ストーリー
 エル・ウッズ(リース・ウィザースプーン)は綺麗なブロンドが自慢の女子大生。大学ではファッションを専攻してるけど、成績はA!だって、ファッション大好きだし、女の子の友愛会の会長を務めるほどの切れ者、人気者なのだ。彼氏も代々政治家の名家の息子、ワーナー・ハンティントン三世(マシュー・デイヴィス)。
 だけど、振られちゃった。ブロンドは頭が悪いんだって。見た目で人を判断するな、このタコ!
 ということで、ナントカ三世を見返すために突如ハーバード大学ロー・スクール(超名門!超難関!)を目指すことにしたエル。
 努力の末、難関を実力でもぎ取ったまではよかったが、学校では当然浮きまくり。ナントカ三世はいつの間にか名家の子女ヴィヴィアン・ケンジントン(セルマ・ブレア)と婚約していたし、先生は意地悪なやつばかり。
 だが、エルはめげない、曲げない、媚びない。パソコンは一人だけマックだし、履歴書なんてピンクにして香水ふりかけちゃうし、授業にはチワワを同伴。ストレスがたまってもマニキュアで癒されるのよ!
 そして、エルに降りかかる最大の試練は、なんと本物の刑事裁判の弁護。しかも殺人事件にとりかかることに!被告にアリバイなし、目撃者あり、関係者の証言は全面的に被告に不利なんて、学生には無理無理無理!でも、エルにはガッツとギャルならではの専門知識がある!発想を逆転させるのよ、成歩堂くん!

 そこそこ、お約束とか言わない。
 主人公のエルはセレブの仕事の手伝いしてたり、ショップ店員をやり込めてしまうほどの知性の持ち主で、ファッション分野で活躍できる将来が約束されているなど、ギャルのなかでも勝ち組なんですが、そこを捨てて、アカデミックでもシックでソリッドでエグエグな法律に舞台を移すところが、この物語の面白いところ。
 エルの属するアッパーな文化圏も、ヴィヴィアン属するプレップス=優等生文化圏も独立性が高く、学内ヒエラルキーに大きなルサンチマンを感じないため、プライド高く、排他性も高いわけです。だからエルとハーバードの間にある緊張感はリアリティを感じるし、エルは妥協はしないけど歩みよりもないって展開になってしまうのも面白い。
 ハーバード・ロー・スクールは法律畑だけではなく、広く門戸を開いているらしいんですが、そのなかでもエルの経歴が、かなり異色であることは生徒が自己紹介し合うシーンで浮きぼりになります。
 いろんな生徒が集まるっていっても、「ジュリスト」読んでる人や「世界」読んでる人や「ネイチャー」読んでる人が集まるのであって、女性ファッション誌読んでる人*1は浮くっぽいです。
 裁判シーンは意外と拍子抜けなのはアレでしたが、泣き笑い喚くリーズのハイテンションはいい感じだし、セルマ・ブレアのプレップスぶりがいい。いや、彼女の最小限に表情を変化させて感情をざっくり伝える演技力は凄いですわ。『ストーリー・テリング』でも短い時間ですごい存在感示したし、この人はちょっと注目ですね。セルマとリース、陰と陽の演技がぶつかり合うシーンは本当にエキサイティングで楽しいですよ。
 期待通りの演出で、期待通りの満足をくれる快作です。陽気とハッピーを売りにして、本当にハッピーな気分にしてくれる映画ってなかなかないよう。

*1:よくわからんのですが、エルのファッションはどの雑誌の性格が一番適当なんでしょうかねえ。日本であんな服着てる人はなかなか見ませんよ。