フラガール(2006)


公開初日なのにスカスカでした。みんな映画見ようよ!

■ストーリー
 時は昭和40年。福島県いわき市常磐藤原町の話。この町は鉱山を中心に構成された町なのです。今でも相当厳しい石炭産業ですが、この時も石油の波に押されて、各地の鉱山が閉山している真っ只中なのでした。このままでは町は潰れてしまう。
 そこで役所が考えたのは、13億かけて温泉リゾートを作ること!目玉は地元の娘が踊るフラダンス・ショー!うわー、なんかハワイボケした役人の考えそうな企画だなーと思ってたんですが、住民も当然ブチ切れ。見込み失業者は1500人なのに、温泉リゾートは500人しか雇用できない。しかも建造費13億。勘弁してくれ!もっとマシな福祉政策ないのか!フラダンスなんてハレンチな裸踊りじゃねーか、誰が考えたんだよ!
 という猛烈な逆風の中、フラダンスのコーチが単身で町にやってくる。平山まどか(松雪泰子)、田舎に似合わぬカラフルないでたちのハイカラさんだ。しかし、蒼井優とか静ちゃんのダンス見てから、完璧にやる気を喪失。素人を数ヶ月で舞台に立たせるなんて、無理だよ!
 住民の反発、平山先生の無気力、そしてタカビーな先生への生徒からの反発と、なんかもうどうしようもない状態。
 しかし、ダンスでどうしても炭鉱町を脱出したい女の子の願いが状況を変える...。

 重い重い重い...。
 炭鉱に縛り付けられた生活の閉塞感、失業者がガンガン出てるどうしようもない鬱屈感がズシズシのしかかってきます。
 これで主人公が生徒の蒼井優だったら、ガラスの仮面のマヤのように、先生や、友達や、恋人が支えてくれるわけですが、本作の主人公は先生なのです。困難は全部バンプ取ります。人の痛みも一緒にバンプとってあげるのです。ヤカンの熱湯だって被るのです!いてえ、いてえ、いてえ。She is Hardcore! She is Hardcore!
 ずーっとへこたれない彼女の強さは胸が打たれるというか、疲れるわけですが、彼女にも弱点があって、それはヤクザの寺島進寺島進、今回もこんな役です。「FIRE」のCMも、爽やかにやってたけど、あの内容はビールの宣伝だよな。暑苦しいもん。ちなみにヘルシア緑茶の香川照之の爽やかっぷりも衝撃だったな。
 平山先生が信頼を勝ちとっていくさまは、非常にゆっくりと、丁寧に描かれており、この手の物語にありがちな勢いに任せる感覚はありません。伏線の張り方も上手く、ドラマチックな場面では泣けます。僕の感覚だと、この上手さが、作り物感覚を想起させ、だんだん映画に惹きこまれなくなっていったんですが。それだけに、エンディング近くで「これは実話です」というクレジットが流れたときはビックリした。
↓舞台となった温泉リゾートはまだ残ってます↓
http://www.hawaiians.co.jp/
 むー、だから平山先生はダメっぽさを感じない、カッコいいハードボイルドな姉貴キャラクターだったわけねと逆に納得。
 ダメ人間がフラダンサー以外に集中してるのはなんか、ずるいなーと思ったけど、楽しめました。
 蒼井優はやっぱり可愛いですね、バスの中で先生にはにかんでみせるシーンはよかった。
 明るい宣伝してるけど、困難に耐えて、耐えて、耐え続ける辛い映画です。笑いの少ない映画だけど、個人的に一番笑えたのは、静ちゃんのパンチラではなくて、あからさまなリポビタンDの宣伝。はっきりと銘柄が見えるように持ってたので、よくわかりました。ファイト一発!