下妻物語・完 ヤンキーちゃんとロリータちゃんと殺人事件

 以前、書籍のほうの『下妻物語』を読んで、ああ、やっぱり映画版『下妻物語』はテンポのよさ、キャスティングの奇跡、軽快な雰囲気を併せ持つ快作だったんだなぁと思ったものです。つまり映画のほうがよく出来てると*1
 にもかかわらず、続作を買っちまったのは他人になんと言われようと自分の信じた道をただ独りでずいずい歩く桃子のカッコよさがより描けてるのは書籍のほうだと思ったからです。なんてったって、作者、嶽本野ばらのビジュアルにインパクトありすぎ。ロリータの桃子イズムはそのまま嶽本イズムが反映されているんでしょう。だから書籍版のほうが桃子の語りに説得力、迫力あり。自分に正直、迷いなしでわが道をいってる桃子がカッコいい!マブい!と思ってしまったから続作を買うに至ってしまったわけですよ。別に『ミシン』でも『それいぬ』でもよかったんだけど、なんか暗そうだし、古本屋に置いてあったのがこっちだったんだから仕方ない。
 前作のレールを引き伸ばした感じで、以前の作品が好きならそのまま楽しめるところもありますが、前作と比較し易く、問題点も目立ちます。以前より説明文章があからさまだし、解説文がくどいし、ギャグがダサい*2。嶽本やる気ねー、というか、書かされてるだろ!と感じる部分がなきにしもあらず...ですが、全部ご愛嬌で許せちゃう範囲です。
 許せないのはアレだ。殺人事件だ!よりにもよって某超特急で二度もモチーフにされたアレを「パクる」*3感覚は理解できない。ただでさえちょっとズルイと思えるトリックなのに、某超特急で使われたおかげで、完全に反則トリックに思えてしまうぞ!しかし、映画版では御大がでてきたし、確信犯なのかな。
 それはさておき、捜査部分のゆるーいテンションは探偵・神宮寺三郎みたいで結構好きです。

*1:コメディは小説向きではないと思いますし

*2:今回は滑りっぷりが豪快だぜ!

*3:イチ語