勝負の極意
- 作者: 浅田次郎
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 1997/04/01
- メディア: 文庫
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今回浅田次郎の本を手にとってみたのは、若い頃の斜めな自分を振り切りたい気持ちと、大学の人間関係と地理的な距離感が出来てしまったことへの寂しさがあります。
そして、寝ぼけ眼の早朝の電車でも、目をひきつけられ、クタクタの帰りの電車でもついつい手を伸ばしてしまう筆力を持っていたのもあるでしょう。浅田さんはやっぱり文章が上手い。
浅田さんが作家になるためのエッセイは割とソコソコで、大部分が競馬についてのエッセイなんですが、僕は競馬の知識はもちろん、興味もほとんどない。
娯楽が制限されていた昔*2は、僕にはつまらなくてたまらなかった『ロビンソン・クルーソー』を半年かけて粘り強く読んだこともありますが、今はそんなことできない。買っただけで読まない本がどんどん積みあがる。ファンの方には申し訳ないけど、村上春樹なんか読み終わるより前にビリビリになってしまう。
そんな僕が馬の話で喜べるんだから、浅田さんという人は凄い人だ。
いや、勧められたウイニング・ポストは普通にはまったし、山際淳司の武豊を扱ったノンフィクションもなかなか面白かったなぁ。馬はやっぱり面白いよ。やっぱり競輪競艇が不振の中、JRAがこれだけ踏ん張っているんだから、競馬というのは興味深い素材なんだろうねぇ。まったく何が言いたいんだ僕は。
とにかく浅田次郎はいいね。気取ってなくて俗っぽくていいよ。経歴と競馬理論をみるに、根は執念と熱意と苦労の人なんだろうけど、超然とせず俗に浸り、人間臭いところを掬いとれるのは浅田さんの才能なんでしょう。他もいろいろ読んでみよう。