『噂の眞相』25年戦記

「噂の真相」25年戦記 (集英社新書)

「噂の真相」25年戦記 (集英社新書)

 いやぁ、面白かった。ひと時代を築いたアングラ総合誌ですからね。『噂の眞相』の駆け抜けた時代というのを感じられたらいいかなと思って、ちょっと立ち読みしたんですが、思わず引き込まれてしまい、購入してしまいました。
 1978年にスキャンダルを武器に徹底して権力に戦いを挑んだ、アナーキーな闘争が始まります。前身の『マスコミひょうろん』が75年ですが、安保闘争が徐々に勢いを失っていく中の創刊。マスコミは左派が多かったでしょう。学生運動によって新宿ゴールデン街に出会ったというくだりは熱くていいですね。
 著者が出版社を追い出され、『噂の眞相』を立ち上げるまでのいきさつは、「よくここまで細かく覚えてるなぁ」と感心するくらい詳細に述べられているので、ぐいぐい引き込まれていきます。マスコミはやっぱり人脈なんだなぁと思わされます。
 序盤は「皇室ポルノ事件」「極真会館スキャンダル」「ロス疑惑」といった、関わった大きな事件を語っているんだけど、さすがに編集長だけあって、つかみが上手い。特に「皇室ポルノ事件」は次々にいろんな団体から騒動が起こされるんだけど、芯を持って行動しているさまが伺えて非常に痛快でした。
 これが後半になると、だんだん論争や自己肯定が増えてきて苦しくなるんだけど、奇跡の広告なし雑誌の実現(『ゲーム批評*1もエライぞ!)による、タブーなき闘争は痛快で心地よいですね。「救う会」、文壇論壇のスター、検察といった「意外な権力者」に気づかせられたのも興味深かったです。特に検察の強さ怖さは説得力がありますよ。

*1:なぜか男色ディーノがコラム書いてるぞ!