男気万字固め
- 作者: 吉田豪
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2001/06
- メディア: 単行本
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トップバッターを飾る山城新伍さんが最高。東映の連中と下ネタ番組作ったり、段取り無視して自分達の好きなように映画を作ってしまったりと、一つ一つがアナーキーで徹底的に下衆。セリフを覚える気のない梅宮辰夫さんやレッド・パージを完全に無視する東映と、山城さんの周りも面白くてたまらない。常識からの逃亡を訴えるくだりは同感過ぎて泣けてきます。
他にも売れる前の女遊びっぷりがぶっ飛んでてたまらない小林亜星さん、身体的・社会的ハンデを乗り越えて大選手になった根性はすごいけど、気合入りすぎて喧嘩屋にしかみえない張本勲さん、吉田豪さんの力をもってしてもやっぱりバカかバカのふりかわからず、シュートの壁を打ち破れなかったガッツ石松さんと、魅力たっぷりで飽きませんでした。
いま『『噂の眞相』25年戦記』って本も読んでますが、新宿ゴールデン街の臭いというか、ほとばしるはねっかえりのアナキズムというのはギラギラしていて、何かやってくれそうなワクワク感があるんですが、基本ゴシップ紙なので、アラ探しをしている感があって、ちょいとセコイ。
これが「この大物はこれだけやばいんだ、凄いんだ」って肯定的に捉えるのは、昭和のプロレス本感覚ですよね。でかいものを崇めるのはなんか牧歌的でよい。吉田さんがプロレス畑からマスコミに入り込んだのは偶然ではないでしょう。張本さんの項では力道山のエピソードがいろいろと語られますが、やはりしびれる。昭和の大物がハチャメチャやっていた源泉にはご近所さんが囲んでみてた力道山があるのかもしれませんね。
で、こういう面白いものを拾うためには週刊誌やタレント本を漁らなきゃいけないんだけど、面倒くさい。タレント本って基本的につまらないって印象あるから読まないんですよね。だからたまに赤裸々でトンデモな本が出てくるから面白いんでしょうが。