マンハッタン(1979)

■ストーリー
 冴えない中年の小説家アイザック(ウッディ・アレン)。別れた妻ジル(ミア・ファローメリル・ストリープ)とのゴタゴタに疲れたか、17歳の少女トレイシー(マリエル・ヘミングウェイ*1
 ある日、友人から不倫の悩みを告げられたアイザック。とりあえず不倫相手(ダイアン・キートン)と会ってみると鼻持ちならない嫌なやつ。しかし、交流を続けるうちに、なんとも惹かれる魅力があって...。

 僕は基本的に恋愛映画みません。昔は母親の影響でラブコメをよく観ていて、それなりに憧れ、ときめく時期もありました。この影響でメグ・ライアンは大好きな女優さんになりました。お茶のCMは癒されましたね。
 しかし、時は移り、過ぎた貧困と渇望は人を卑屈にさせます。ひねくれものにさせます。恋愛映画はまともに観ることが出来なくなりました。とりあえず恋愛映画の中に自分の居場所が見当たらないと。感情移入することがバカバカしくなってしましました...。
 
 でもウッディ・アレンは共感できるんです。インテリでモテモテで、趣味が基本的にハイソでもぜぇんぜん大丈夫。『アニー・ホール』におけるチビハゲ眼鏡、卑屈で理屈っぽいアルビー・シンガーには我らもてない頭でっかをを強烈にひきつけるものがあったわけです。ストーリー構築を崩す理屈やスケッチといった小細工もツボ。僕にとって初アレンとなった『ブロードウェイと銃弾』でも妙に素直じゃないセンスに惹かれましたが、代表作の『アニー・ホール』では完全にほれ込みました。コンプレックスとプライドの狭間をあがく僕のヒーローになったわけですよ。『電車男』みたいに「外見アレだけど、じつはいい奴」なんて甘いのです!負け犬の冥府魔道はまだまだ深く濁ってます。成功譚なんて欺瞞でしかない。有り余る孤独な時間と怨み辛みを地獄の釜で煮込んだ悲劇こそ甘美!
 
 話がそれました。
 アレンは元コメディアンだけに喋りが抜群に上手くて知的なんですよね。アートにも精通しているし、コンプレックスの塊といっても、基本的に節度のある大人の人。ルーザーっぽいけどルーザーではないです。言うなれば親しみの持てる悲劇のヒーロー。
 全体的なストーリーの構成においても、上手く節度のある悲劇に抑えるアレンの上手さというのは嫌味がなくて僕は好きですね。
 『アニー・ホール』よりも毒が薄くて薄くて、音楽*2もストーリーも整っててオシャレで不満ではありましたが、適度に切なくていいんじゃないでしょうか。『アニー・ホール』は男の宝ですが、『マンハッタン』は女の子と観てもいい恋愛映画ですねぇ。
 ヒロインは今回もダイアン・キートン。この人綺麗でカッコよくてオシャレで大好き。この人の顔観るたびにアレンはセンスがいいなぁと思います。
 マリエル・ヘミングウェイですが、このひと美人じゃなくて、アレン好みというより、44マグナムの似合うダーティ・ファイター*3に好かれそうな顔立ちです。この人だったらダイアン・キートン選ぶよなぁ。
 
 今は少女のスン・イー*4と結婚してるし、奇しくも映画をなぞるような人生を送っているアレン。ウッディ・アレンもポランフスキーもチャップリンもセンスのあるアーティストはみんなロリコンなんだね!
 
 ひとつ気になったこと。『マンハッタン』は友人の勧めで借りたんですが、今回のアレンは結構身勝手な男で好きじゃないんです。以前、一緒に観た『故郷の香り』も主人公の男が身勝手で思い入れできなかったんですが、彼は感情移入してました。思うに、実は彼は身勝手なのではないかという連想を抱かずにいられないんですが、その辺どうなんでしょうかぁぁ!

*1:あの文豪の孫娘!)))を恋人にしていた((アレンが学生のステイシー・ネルキンと付き合っていた実話をモチーフにしているそうです

*2:ジョージ・ガーシュウィンの音楽は非常にカッコよくてよかったですね。今度CD借りよう

*3:余談ですが『ショーン・オブ・ザ・デッド』ではストーン・ローゼズネタがわからなかった僕ですが、主人公が『ダーティ・ファイター』好きというボンクライズムには泣けました。ウホッウホッ

*4:調べたらミア・ファローの養子だった…