犬神家の一族(1976)

犬神家の一族 [DVD]

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■ストーリー
那須の大富豪、犬神佐兵衛(三國連太郎)が亡くなった。25億もの巨大遺産の行方に集合してきた犬神家の一族。しかし、遺言状に書かれていた内容は一族を驚かせる問題のあるもの。一族の内紛を予期した弁護士は金田一耕助(石坂浩二)に調査を依頼。やがて思ったとおりに殺人事件が発生。捜査を進めるうちに明らかになってきたのは、あまりにも多くの人間の怨念が絡みあう犬神家の深い深い業であった。

犬神家の一族
犬神佐兵衛(三國連太郎)
佐兵衛の三人の娘、松子(高橋三枝子)、竹子、梅子(草笛光子)
それぞれの息子、スケキヨ(あおい輝彦)、佐武(地井武男)、佐智(川口恒)*1
遺言の鍵となる珠世(島田曜子)、青沼静馬
そしてなぜかよく第一発見者になってしまうスクリーミング・クィーンに犬神小夜子(福原愛川口晶)

 日本の一人ハリウッド、角川春樹率いる一連の「角川映画」第一弾。役者もスタッフも豪華豪華。一族以外にも大滝秀治三木のり平岸田今日子と大物がバシバシでてくる。立花藤兵衛こと小林昭二も犬神幸吉役で出てるんだけど、僕は詳しくないです。監督はカッコいい絵を撮る市川崑、音楽には角川映画からルパン映画まで情感のある旋律を作る大野雄二。角川春樹の気迫が伺えますね。キャスト履歴を見るだけでため息出るし、面白い。
 
 映画ももちろん面白い。市川崑の映像遊びが楽しいですね。回想時の映像反転、クライマックスのドアップにカットの連続と緊迫感を高める演出がいっぱい。遺言状を記した問題のそもそもの原因、犬神佐兵衛の存在感をぐいぐい高めたのは演出のおかげでしょうね。
 白面でブギーマンもビックリのスケキヨ像の確立も大きいでしょう。本作以降のドラマ版「犬神家」は全て本作と同じ造形のスケキヨマスクになってますね。今見てもインパクト大。スケキヨを演じてるのは助さんなんてくだらないことは言いませんよー!
 
 原作読んでないので後半の急展開についていくのは大変でした。登場人物がメチャクチャ多くて、因果関係もとんでもなく複雑。脚本化が頭を抱える姿が目に浮かぶようです。非常に長い上映時間でもなかなか手強い作品だったと思いますが、逆に詰め込み方が上手く、150分時間を忘れてのめりこめたテンポのよい作品になったんではないでしょうか。金田一のとぼけたキャラクターがストーリーに緩急をつけていいですね。
 贅を尽くした昭和を堪能させてもらいました。

*1:川口浩の弟!