屋根裏の散歩者 インターナショナルバージョン(1994)

■ストーリー
昭和初期の東京。遊民宿で寝泊りする青年、郷田三郎(三上博史)は偶然自室から天井裏への入り口を発見する。世間はくだらない奴ばかりで、人生がつまらないと感じていた郷田だったが、住民の生活を覗き見る生活は何よりも背徳的で面白く、屋根裏散歩にのめり込んでいくのだった...。

 さて、乱歩映画オールナイトも三本目。おじさんが集まるかと思いきや、意外と年齢層若い。そして目の前にカップルが座しているという想定外の出来事が!
 乱歩好きの女性って存外いるもんですが、猟奇性といいエロさといい男性的で女好みする小説とは正直思えない。耽美なところがいいのかな。
 まぁいいや。とにかくこの映画エロくてエロくて。ウルトラマンで子供の夢を描いていた実相寺昭雄監督の作品とは思えませんでしたよ*1。全編いたるところにセックスシーン。本作に至るまで『アリエッタ』『ラ・ヴァルス』『ディアローグ』*2とエロい映画が続いていたので実相寺さん自身がエロスに作家性を見出したのかもしれません。これに続く『D坂〜』もエロい!
 上映中男どもがうろたえて、姿勢を変えたりしている音が聞こえてくるのは楽しかったです。この作品ってカップルで見るとすごく気まずいんじゃないだろうか。ほとんどポルノだし。また実相寺さんは使用済みコンドームを撮るというやらしいことをなんでするかなぁ。面白いけど。
 
 のぞく部屋のぞく部屋どこもセックスばかりしていて、それも実相寺さん淡々と撮ってるので、あんまりだとは思いましたが、他にも観るべき点はあります。
 実相寺さんといえば映像ですが、噂に聞く実相寺ショット、確かに斜めでした。大抵のショットが傾いているのが面白いですね。『子連れ狼』のオープニングを作った人でもあるらしいです。僕はあのオープニングは好き。いつも夕方でセピア色に染まった遊民宿も美しくていいですね。独特の色の光線が差し込む屋根裏には宇宙人がやってきそうです。
 独特の退廃的な調子のラストは好きですね。けだるくて。タバコがいい味出してます。
 
 役者では『帝都物語』で加藤を演じた嶋田久作、そして加賀恵子が見所らしい。確かに加賀恵子は存在感あった。

*1:ウルトラシリーズでも癖のある話を撮っていたらしいですが...

*2:以上三作、実相寺昭雄コレクション[エロス]に収録(笑)