バンデットQ(1981)*1
- 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
- 発売日: 1996/12/18
- メディア: VHS
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■ストーリー
少年ケヴィンは冷たくて相手にしてくれない両親に悩んでいた。ある日、寝室のクローゼットから騎士や小人達が飛び出してきているのに気づく。ケヴィンは小人達に連れられて時空を越えた旅に出ることになった。世界はたったの7日間で急造されたため穴だらけ。神と喧嘩した小人達は時間の裂け目を印した地図を盗み出したのだ。彼らは時をさまよう盗賊団...「タイム・バンディッツ」!
結局なんなのかよくわかんなかったけど面白かった。
予算がないのにスケールが馬鹿でかくていいですね。筋立てが上手い人でもないし、無茶な演出をつなげますが、ぐいぐい自分の世界に引っ張り込む力がありますよ。テリー・ギリアムは素晴らしいホラ吹きですね。
ホラ吹きといえば、この映画『バロン』に通じるものがあります。目まぐるしいストーリー展開、宇宙規模のスケールのでかさ、パイソン風味を残したシュールでのどかな雰囲気、ファンタジー大肯定の世界観と類似点は多いです。『バロン』はコケましたが...。
デニーロ似の小人をリーダーとする強盗団のドタバタが見ていて楽しい。おまけにバカでいい奴ぞろいなので、少年との友情には心を動かされますよ。ギリアム映画にでてくる変人って、どいつもこいつも惹かれる何かをもってるんですが、パイソンに携わった財産でしょうか。本作では特に『空飛ぶモンティ・パイソン』を思い出すキャラクターがチラホラ。
あと、この映画は少年の父母以外は善人も悪人も嫌悪感を持たせません。盗賊団との旅ははひたすら騒がしくて楽しそう。だからギリアムの映画は現実逃避だって言われるんでしょうか。
映画に出てくる偉人達もどこかキレてて楽しい。偉人の一人はパイソン仲間のジョン・クリーズ*1が登場してますが、相変わらず味がありますね。クリーズの登場場面ではほとんどパイソンのスケッチ状態でした。クリーズの取り巻きのバカっぷりが最高。少年時代の素晴らしさってイノセントなところだけじゃなくて、騒々しくバカをやってたところにもありますよ。昔の鼻たれ坊主は『3丁目の夕陽』じゃなくて稲中観て泣け!
ファンタジーといえば映像。原色つかったり、ジメジメ湿気た映像はティム・バートンの得意技なのです*2、『ブラザーズ・グリム』ではこれに挑んだために無理があったかも。乾燥してて埃っぽくて土臭いのがギリアムの持ち味でしょう。光と闇の使い方も上手くて『バロン』の楽屋裏のシーンとか大好きなんですが、本作もクライマックスの神殿のシーンは非常に凝ってて楽しめました。
目まぐるしい冒険譚なのでお気に入りのシーンを作る映画じゃないですかね。オープニングはカッコいいし、不思議世界への旅立ちはワクワクします。一番すきなのはクライマックスの大冒険ですが。
結局この映画のテーマはよくわからず。というか、ラストは本当にビックリだ。あんまりすごいので笑ってしまいました。あんまりにも唐突で投げやりなラストで物議をかもしているようですが、ギリアムは続作を作る予定だったらしいです。ところが6人の小人のうち2人が死去してしまったため、続編はあえなく中止になったとか。「「戦いはまだ続く」の意味」は続作を予言していたのかも。残念...。
以下はメモ
製作総指揮になぜかジョージ・ハリスン。意外な感じですが、この人コメディが大好きみたいで映画制作会社「HandMade Films」を立ち上げて、多くのパイソン映画に関わりました。ハリソンと名を連ねてる製作総指揮のデニス・オブライエンはその会社でのジョージのパートナーです。ビートルズの中で最もシャイで割と地味なジョージだけどもっと称えよう!
脚本はギリアムのほかにパイソン仲間のマイケル・パリン。結局パイソングループではジョン・クリーズとマイケル・パリンの2人が参加していたのですね。