フリークス
- 出版社/メーカー: ジュネス企画
- 発売日: 2004/03/25
- メディア: DVD
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■ストーリー
サーカス団で働く小人のハンスは花形女優クレオパトラに恋をする。初めはからかっていたクレオパトラだが、ハンスが莫大な遺産を手に入れようとしていることを知り、目の色が変わる。ハンスの財産目当てに結婚を狙うが、彼女はフリークス独自の倫理と絆の強さを甘く見ていた…。
酷評注意
本物のフリークスが大勢出演している点で、またバックステージではお互いいがみ合っており、実はフリークスの絆は強くなかったという逸話*1も含めて興味深い一本です。
ユーモアや人間らしさを見せて、フリークスに感情移入させようとしてるんでしょうが、役者経験のないためか、まったくセリフのないフリークスは不気味であるし、クレオパトラを監視するくだりにいたってはほとんどホラー映画のモンスターのような演出がされてます。
フリークスと他の連中は同等に描かれてるかと思いきや、さもあらず。フリークスではない一座の連中はヘラクレス、クレオパトラを除き、人格的にも立場的にも優位に立っているのは違和感あり。座長っぽいおばあさんはともかく、善玉の道化師フロゾのシュルツ(ピンヘッド)に対する子ども扱いはどうなんだろう。かろうじてシャム双生児のヒルトン姉妹*2が強気で対等以上に渡り合ってるし、ホラー風の演出がされてません。
結果、トッド・ブラウニングのフリークスに対する好奇心と愛情がごっちゃになった感じで、鑑賞後はなんとなくスッキリしません。フリークスは純真な天使であり、共感できる人間であり、そしてモンスターでもある*3。この焦点の不安定さはフリークスではないのに、フリークスを理解しようとしたトッド・ブラウニングの限界を示しているようです*4。
主人公のハンスがクレオパトラの本性を知って一言、「あのフリークスめ!」…多分、クレオパトラの悪い性格を非難しての一言でしょうが、自身の奇異な体が悪であることを意味してしまうトンデモ発言です。完成度も、メッセージ性も未熟ですが、やたらとインパクトがある。この映画の性格を示した一言じゃないでしょうか。