戦うセクシーヒロインの原点、パム・グリア

コフィー

コフィー [DVD]

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 AIP製作ですからコーマン一族の系譜、例によって低予算B級映画ですね。『残酷女刑務所』で女囚映画というジャンルを切り拓いてしまったジャック・ヒルパム・グリアが放つアクション映画。だから、おっぱいと暴力が溢れんばかりでサービス精神豊富ですよ。

■ストーリー
幼い妹が麻薬中毒になって以来、コフィー(パム・グリア)は怒りと復讐の鬼と化した。相手が小物の売人だろうと、シンジケートのボスだろうと情け容赦なし、皆殺しにするまでだ。しかし、いまや麻薬組織はマフィアだけのものではなく、政治家、警察も巻き込んだ巨大なネットワークに発展していた。頼りになる仲間もいないコフィーは巨大な闇に立ち向かうことができるのだろうか…。

 意外だったのはパム・グリアの美しさ。表情のりりしさもいいんですが、信じられないくらいの爆乳とアフロが違和感なく収まってるのはパム・グリアの貫禄の賜物でしょう。あらゆる男が心を奪われるが、その実態は孤独な女殺し屋というキャラクターを自分のものにしてますね。ブロンドの美人さんもいっぱいでてくるんですが、パム・グリアの存在感は別格です。やたらとキャットファイトやら喧嘩やらを繰り返すのですが、そのときも常にパムは相手を圧倒する風格を漂わせていますね。殴られても、ナイフ突き出されても、公衆の面前で裸にされても全くひるみません。度胸ありすぎ。
 コフィーの度胸、強さ、そして色気は観客に相当な衝撃が走ったはずです。こんなヒロイン、前例がないですからね。同じく度胸、強さ、色気を強みにしたマドンナ旋風が吹き荒れるより、10年時代を先どりしていたわけです。『エイリアン』のリプリーのように強さと度胸だけが先鋭化して、もはや女どころか人間かどうかすら怪しい境地に至った場合もありますが、戦うヒロインというのは『トゥームレイダー』のララ・クラフトや『チャーリーズ・エンジェル』のように概ね洗練されてしまった感があります。その点、コフィーはおっぱい晒すわ、散弾銃で敵の頭粉々にするわで、表面的な映像だけでもエネルギーに満ち溢れてます。さすが元祖。
 ファッションから性格まで『コフィー』のパム・グリアは全身に70年代、さらには以降の強い女性像の予感を纏っていたのでしょう。だからこそ、最近になって再評価されているのであり、女囚映画を広め、強いヒロイン像の一つのモデルにもなったんでしょう。このへんは本作の関連作を後々観ていけば気づくことでしょうし、今回はパム・グリアのオーラだけを感じておきますよ。
 
 低予算のためアクションに金かかってません。パム・グリアの動作も、ちょっとモタモタしてます。編集に力入れられるほど予算がないため、比較的長いシーンが多く、テンポもあまりよくない。
 しかし、カタルシスはあります。それはコフィーがただの看護婦であり、戦闘の専門家ではないことが逆にアクションにスリルを与えてるんでしょう。ケンカは基本的に度胸勝負で屈強な男には勝てません。色気だけで麻薬組織に無謀な潜入を試みてるわけですから、いつやられてもおかしくない状況にいるわけです。コフィーの復讐も一筋縄ではいきません。だから容赦なく悪人を抹殺した時にはスッキリするわけですね*1(前半でいたぶられて後半で一気に復讐するのは女囚映画の定番らしいですが…)。ラストシーンは痛快の一言です。
 結構都合よく話が進むし、細かいツッコミどころは山ほどあるんでしょうが、気にするだけ野暮だと、現実味の欠片もないパムの爆乳が語っております*2
 なんだかんだで90分退屈を感じさせない娯楽作品でした。10分おきくらいに見所を作って飽きさせないのは、さすがAIPといったところです。特にキング・ジョージのパーティーにおけるキャット・ファイトは経緯から戦いそのものまでご都合感たっぷり、シュールそのもので笑えますよ*3

*1:潜入する必要もなく一人で悪の組織を殲滅してしまうセガールはまた違ったカタルシスがあります

*2:義眼の男は結局何者かよくわからなかったなぁ

*3:脱力テーマソングから威厳の欠片もないキング・ジョージも注目