エル・マリアッチ

エル・マリアッチ コレクターズ・エディション [DVD]
 男くさい映画を撮り続ける監督ロバート・ロドリゲスが世界にその名を知らしめたデビュー作。インディペンデント系の映画祭サンダンスで観客賞撮りました。『エル・マリアッチ』シリーズは『デスペラード』『レジェンド・オブ・メキシコ』と規模を拡大しつつ作品を重ねてます。
■ストーリー
マリアッチ(歌手)を目指す主人公。諸国放浪の旅の合間に辿り着いたアクーナでは、なかなか仕事にありつけず。もはやマリアッチは死んでしまった伝統なのか!?ところでギターに黒服を着たギャングの親分が命を狙われているらしい。同じくギターを持った黒い服の主人公はギャングに勘違いされて命を狙われてしまう…。
 
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 素人目ですっごく予算の少ないのが丸わかりのアクション映画なんですが、やはり面白い。よく、いい映画は金じゃないといいますが、アクションで、しかもアクション大作量産傾向の90年代に証明されるとは思っても見ませんでした。
 登場人物がメインから脇までアクが強いのは楽しいですね。この映画はアズールにモーリシオという二人のギャングの対立から引き起こされる物語なんですが、どいつもこいつも泥臭くていい。日焼けして顔面テカテカしてると、悪いやつの雰囲気でてるし、エネルギーが溢れてて何かが起きる期待を持たせます。嫌味な金持ち白人で一人だけ浮いてるモーリシオもプールで美女をはべらせてカクテルを飲むというあからさまな演出がグッド。対するアズールは割と狭い本拠地に頼りにならない部下と苦戦を強いられます。ほとんど一人で危機を乗り越えますが、強さといい、本作でも屈指の顔の濃さといい、雰囲気溢れる女のはべらせ方といい、大昔の豪族かくあるかなといった感じです。
 脂っこいだけでは面白い映画にはならないわけで。主人公の成長物語が逃走劇と織り交ぜてテンポよく仕上げられているんですよ。主要登場人物が絡み合ってる人間関係もスケールの狭さというよりもまとまりのよさを感じます。破滅を予感させる夢もくどくなくていいですね。
 クライマックスからエンディングまでの流れは漢なら涙必至のカッコよさです。小さなシーンや設定、舞台が80分という短い時間だからこそ最後に見事に結実した感があります。
 ガン・アクション映画ですが、間に挟まったドラマがちょいと長いし、ばら撒いた銃弾もそんなに多くないです。ややテンポが遅いけどカッコいい男が溢れてた昔の西部劇とか時代劇が好きな人は楽しめるんじゃないでしょうか。