オペラ座の怪人

オペラ座の怪人 通常版 [DVD]
酷評注意
■ストーリー
パリのオペラ座。そこは謎の怪人が息を潜めていた。度重なる脅迫。怪人の恐怖を知らない新支配人は怪人の要求を拒否し続けるが…。しかし、オペラ座には才能溢れる新しいプリマドンナが生まれるうれしい予感もあった。彼女の名前はクリスティーン(エミー・ロッサム)。幼馴染の貴族ラウル(パトリック・ウィルソン)のサポートもあり、クリスティーンのキャリアは順風満帆と思われた。しかし、クリスティーンの美声には秘密があった…。ガストン・ルルー原作で何度もミュージカル化、映画化された愛の悲劇の古典。
 
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 もう、僕の大好きそうな情熱溢れる直球ストーリーですよ。オープニングから最高。ジャ、ジャ、ジャ、ジャ、ジャーンという例のテーマからストーリーに入っていくんですが、そこの場面は低音の使い方、映像のスペクタクルからぐっと来ますね。胸に響くドドドドドって音は映画館に来たなー、来てよかったなーと思わせる演出だけど初っ端から使うんだもん。反則だなー。
 監督は『バットマン&ロビン』で全世界のアメコミファンを激怒させたジョエル・シュマッカー。ちょっと調べたけど話題作からマイナー映画まで、ジャンルも越境して何でも撮ってるね。典型的な職人監督です。確かに確かに職人監督らしい手堅い作りになってました。ラブストーリー、美男美女、豪華なダンスにセット、カッコよくて親しみ易いナンバーとミュージカルに期待すべきものはだいたい詰まってます。
 だからこそ、アクのなさに不満が募ってしまうんでしょう。オープニング以降は迫力が尻すぼみ。観客をついていかせるための変化に乏しい感があります。アクションはちょっと蛇足でしたね。期待してたシャンデレラ落とし*1もたいしたものではなかったです。大勢のダンス、ラブソング、そして怪人の登場という大きな三つの流れが入り組んでいるだけで、だんだん飽きてくるんです。セリフの大部分を歌にしているせいで展開がスローテンポなのもいただけない。
 空想の世界に入り込ませる演出も金色一辺倒で工夫を感じません。同じパリを舞台にしていながらバズ・ラーマンが『ムーラン・ルージュ』でどれくらい暴れていたか。バズ・ラーマンの場合、過剰な暴れっぷりが味なので、さすがにそこまでは求めませんが、一癖ないと夢見心地にさせるのは難しいでしょう。同じく大味の『エビータ』は好きなんだけどなぁ。マドンナ好きだからだろうなぁ。
 ストーリー飛び飛びなのはいいんです。その結果多少おかしいところがでるのもかまいません。ただ、歌を上からかぶせてるのがバレバレの演出は勘弁してほしかった。
 音楽オタクの怪人はちょっと出番が多すぎですね。表に出すぎで威厳も怪奇もあったものではないです。「怪人が警備員達に囲まれながらもどうどうと舞台に出てしまう」というクライマックスはお約束ながらなかなかよかったんですが、それまで表にですぎているのでついつい単なる馬鹿に見えてしまうのも残念。しかも同じ演出を事前にやってしまっているので感激半減ですよ。
 結構批判的ですが悪い映画ではないです。ストーリーの細かい部分を全部うっちゃって歌と豪華なダンスを魅せることに徹した姿勢は好感が持てます。どうも僕が期待しすぎていたみたい。
 主演女優妖艶だったけど18歳かぁ。発育よすぎだろ!

*1:訂正「シャンデリア」だよ。何言ってんだマッタク。