必殺仕掛人(1)

必殺仕掛人 上巻 [DVD]

晴らせぬ恨みを晴らし
許せぬ人でなしを消す
いずれも人知れず
仕掛けて仕損じなし
人呼んで仕掛人
ただしこの稼業
江戸職業づくしには載っていない

 これも時代劇の中では最も有名なシリーズの一つですね。必殺シリーズの第一弾です。必殺なので藤田まことが嫁姑にいびられてるのを期待してたら、中村主水(藤田まこと)が登場するのは第二シーズンから。主役に抜擢されるのはなんと第15シーズンからのことだったんですね〜。
 第一シーズンの仕掛人では前線に出る殺し屋は二人。針医者の藤枝梅安(緒方拳)に、きざな浪人の西内左内(林与一)です。少ないけれど二人ともキャラは濃いですよ。特に西内左内は楽しかったですね。仕掛人になる前は気の赴くまま通りで人を斬ってたという普通にやばい性癖の持ち主でありながら、とことんまで気取った野郎という二面性がたまらない。気取っていてもちょっとずれているところがいいんです。必ず草笛を吹いて登場したり、殺す前はなぜか「仕掛人、西内左内」と名乗ってしまったり。極まってるのに、あまりにもあからさまでコミカルです。

第一話 仕掛けて仕損じなし

 第一話と第二話の監督は深作欣二が担当しています。第一話から主要キャラクターはみんなでていますね。今回は長屋を荒らす材木屋の辰巳屋と作事奉行の始末を担当します。必殺メンバーの元締めは音羽屋半右衛門(山村聡)。西村左内のスカウトと、梅安、左内の活躍ぶりがメインですね。あれこれ知略を巡らし、時折人間らしい欲望を見せる梅安のスキットが必殺らしいところかもしれません。
 半右衛門の締めの場面が異様にカッコいいのは深作さんの真骨頂といったところでしょう。

第二話 暗闘仕掛人殺し

温泉に骨休みに来た梅安と左内。そこに襲い掛かる謎の刺客達。狙いは梅安か?左内か?はたまた仕掛人一味か?そんなときにも苦しむ町人から殺しの依頼はやってるくるのだ。今回の相手は将軍家から鷹を預かる鷹匠小野寺。しかし梅安は小野寺と過去に確執ある顔見知りであった…。

 あれ?第一話と全然違いますな。二話になって格段に面白くなってます。入り乱れる人間関係、梅安の過去、仕掛人家業のはかなさを描いた密度の濃い一時間になってます。戦闘シーンも多いしカッコいい。今回はカメラが動きまくり、面白いショットが連続しているので深作さん大暴れの感があります。
 ストーリーも面白いし、小技が効いた展開も魅力的ですが、今回最も感動したのは映像の面白さでした。今回はこれでもかというくらいズームアップが多い。表情を浮かび上がらせるような光のつけ方も多いですね。ギョロ目で表情に力を感じる緒方拳の出番が多かったからでしょうか。目だけ写ってるシーンとかもありましたね。裏家業の怪しさがでてて雰囲気でてました。
 何といっても見所は殺しのシーンですね。殺陣のすごい時代劇はいくつもありますがトドメをさす絵に力を入れまくってるのは必殺ならではでしょう。今回も梅安のシーンは注目です。