子連れ狼 第一巻(1)

ついに鑑賞してみました、最も有名なのテレビ時代劇の一つですね。柳生一族との確執により地位も家族も名誉も失った浪人、拝一刀は復讐の旅にでます。ただ一人命がたすかった3歳の子供、大五郎を連れているために通称は「子連れ狼」。腰に携える刀は胴太貫。何度斬っても刃こぼれしない一匹狼の刺客向けの魔性の刀。鬼のような強さを誇る、子を持った修羅の冥府魔道。

一話「子貸し腕貸しつかまつる」

政敵によって結婚式に夫も家族もみんな殺された女郎が復讐のため凄腕の刺客、拝一刀を雇うことに。相手は壬生藩家老杉戸監物。ほしいものがあるといつまでもヘビのように付狙ういやらしい男だ。側近には馬上筒十内、振杖外記という曲者も待機している。凄腕といえど、幼児という荷物を抱えた男。果たして軍隊ほどの侍を要する家老を打ち破ることが出来るのか。

 第一話だからでしょうか、テレビドラマとは思えない完成度の高さです。監督は先日世を去った石井輝男。怨念あり、一刀の無情の生き様あり、悲劇あり、活劇ありとこれでもかと詰め込まれた一時間です。一刀(萬屋錦之介)もしびれるカッコよさでしたが、悪役の杉戸監物のヘビのようないやな家老っぷりがたまりませんでしたな。ケレン味溢れる二人の家臣も魅力的でした。
 しかし、大五郎がここまで活躍するとは。「ちゃ〜ん」しか喋らない子かと思いきや、一刀が殺人の依頼を遂行するために大五郎は利用されまくりです。何かと理屈をつけて、どこまでも大五郎を連れて行く一刀は恐るべし。今回も悪者に何度も殺されそうになったし、大五郎が一刀の剣戟を避ける場面もありましたよ。しまいには囮に使われてました。また、戦いに巧みに利用される乳母車の機能性はあまりに素晴らしくて開いた口がふさがらないのではないでしょうか。一刀は連れてる大五郎から乳母車まで戦闘仕様の殺戮マシーンですね。まさに冥府魔道。すげぇ。

二話「鳥に翼 獣に牙」

拝一刀が向かったのは辺鄙な温泉村「郷森村」。世間に疲れた外れ者たちが骨を休める場所らしい。しかし、一刀が向かったときには徒党を組んだ浪人やくざ「とびっちょ」が村を占拠しており、一刀も拉致されてしまった(胴太貫も奪われるがいつの間にか返還)。しかし、水戸藩の賞金稼ぎ集団「十二支組(えとぐみ)」が「とびっちょ」を追って郷森村に潜入しているらしい...。

 一刀は滅茶苦茶強いのにギリギリまで動きませんな。村に潜入して事情を探ってから動くということなんでしょうか。「淫売のお仙」とのスキットはあまりに唐突でオイオイと思いましたが、原作ではもうちょっと正当化されてるんでしょう。
 昔の役者はみんなアクがあっていいですね。怪しくて泥臭くて雰囲気があります。個性的な脇役を眺めてるだけで楽しいですよ。
 今回も一刀はべらぼうな数の敵を相手にしますが、危なげなく殲滅。一刀強すぎですよ。