ショーン・オブ・ザ・デッド

ショーン・オブ・ザ・デッド [DVD]
■ストーリー
 あー、確かにこんな歳(29)にもなったら人生真面目に考えなきゃいけないなー。結婚とかどうしよう。お母さんにも彼女紹介しないと。親父はむかつくけど。いや、まず二人きりでデートとかしないといけないんだろうな。3年もずっとパブでデートとか終わってるよなー。みんなエドを嫌っているけどいい奴なんだよ。だらしないけど。面白いやつだよ。暇人見るとむかつくのかなぁ。社会人面してブツクサ言うピートは死ね。パブでグダグダしたり、自宅でダラダラするのは楽しいんだよぉ!
 
 最高。
 ダメ男にゾンビなんて僕にとっては失神ものの組み合わせですよ。ダメ男大好き。いや、ある程度ショーンがダメ男って言う評判は聞いていたんですが、実際に見てみるまでそれほど期待してはいなかったんですよ。しかし、蓋を開けてみればなかなか…。非常に親近感のわくレベルの高いダメっぷりでしたね。
 まず、非常に世界が狭い。仕事場以外では自宅付近と行きつけのパブにしかいない。出不精で冒険心のない。…なんか自分を見ているようだぁぁ。デートもパブしか行かない、行けないってダメダメじゃん。3年付き合ってるのに彼女と二人きりになれなかったり、17年間も義父と仲良くなれなかったりというのはやりすぎだが、電気屋でバイトになめられるのはいいね。俺なんかネコと目が合ったらいつも威嚇されるもん。ネコから見て怖くないらしい。もちろんテレビのニュース番組は飛ばす。細かいことに気が行き届かないボンクラです。あー。ゲームばっかりやってるだらしない友達がいるのもいいね。二人でいつまでも学生気分でバカやってるの見ると泣けてくる。そうそう、グダグダだらしなくバカやってるのがどうしようもなく楽しいんだよぉ。もうショーンに超共感*1
 イギリス愛とゾンビ愛がぎっしり詰め込まれておりスタッフの好きなものを存分に描いた感じですが、ツボに入る人ははまりまくるでしょう。というか、この映画見る人は「イギリスのゾンビオタクが作った映画」が見たいんでしょ?期待通りのものが得られますよ。
 ロメロのゾンビルールに非常に忠実です。蘇る死人、噛まれると感染、頭部が弱点、人肉を食う、知能は動物並みといった基本から、原理主義者感涙の歩くゾンビ、生前の習慣に従って行動や火が苦手といったちょっとマイナーなルールまでがっちりカバーされてます。すげぇ。でも「真似すればバレない」のは斬新な新解釈だ!多分誰もが一度は考えたけど実行に移さなかった酔狂をあえて決行した度胸を俺は買うぞぉ。
 生前の習慣に従うといえば『ゾンビ』で追加されたルールでしたね。そこで消費社会の中心であり、象徴であるショッピングモールが舞台になったのがアメリカなら、イギリスは…パブなんです。ダーツやジュークボックス、古い客や内装にまつわる逸話とパブのギミックが生かされてます。確かに気の合う仲間といつも集まる場所としては楽しそうだけど、絶対に立て篭もる場所じゃねぇ!場所を色々考えるんだけど、なんとなくパブって思考が最高。主人公はゾンビ並みの低知能なのね。
 「世界が変わっても何も変えようとしないイギリス人」としてグータラな二人組はとても的確。本当にギリギリまでノー天気なのね。
 序盤でショーンがクリケット・バットをブンブン振り回してたのはオォと思ったんですが、コロコロ武器を変えていきましたね。ちょっと残念。
 ところどころでゾンビのテーマ曲が挿入されてました。エンドロールまで油断しないように*2。音楽には凝ってたようで、イギリス音楽のネタも結構用意していたようですが、QUEENしかわからん…。これは残念。音楽に無知な自身を呪うしかないわい。
 
 みなさん演技がうまいし、テンポもいいです。ゾンビ映画としても、コメディーとしても上質な映画なのでこれはオススメしたいですね。

*1:エドもかなりレベルが高く、細かいとこまで完成度高かったんですが、ショーンのほうがショッキングでした。

*2:でもこのネタはダリオ・アルジェント監修版見てるとわからないと思います。