スパイキッズ
■ストーリー
スパイだったパパとママがさらわれた。二人の子供、カルメンとジュニがスパイグッズを駆使して悪に立ち向かうど!
この手のファンタジー映画って監督の作り出せた世界観にハマれるか否かがすべてな感じがしますよね。だから結構冒険もので大手製作会社でもなかなか予算が出せないんじゃないかと思ってました。本作はCG使いたい放題って感じだし、お金かなりかかってる感じです。
雰囲気は不思議な感じでしたね。ファンタジーだから不思議って感じじゃなくて、妙にB級感溢れる奇怪な雰囲気が全体を満たしているんです。正直決していい趣味じゃない。善玉の秘密兵器はほとんど目立たなくて、悪玉の秘密兵器がガンガンに存在感を発揮しているし、力を入れてる感じがします。親指怪人や「最後に改造されたミニマム博士」をみて『死霊のしたたり2』を思い浮かべたのは多分僕だけでしょうが、子供ロボットをみてジョン・カーペンターの怪作『光る眼』を思い浮かべた人はかなり多いはずです。てか、絶対に参考にしてるでしょう、あれは*1。服装も仕草も狙いすぎ。悪の城の世界観を作り上げたフループの番組も基本的に悪趣味。監督はきっと僕みたいにジュネとかギリアムとかバートンとかのちょっと毒のあるファンタジーとホラー映画が好きなんじゃないでしょうか。ファンタジー一直線じゃなくて奇怪なものも愛するみたいな。これで子供向け映画みたいなのにしゃしゃり出たから違和感バリバリの世界観になってしまった印象がありますよ*2。
ストーリー展開は王道なため、余計に奇怪な世界観が浮き彫りになることに。子供向けで描写もストーリーの勢いも抑えた感じが伝わってきます。カルメンとジュニがスパイになるまでの前半とかすごいタルかったよ。僕みたいな人はストーリーの細かい説明はどうだっていいんだから、さっさと奇怪な世界をガッツンガッツン見せてほしいわけ。確かに細かい部分はガンガンはしょって、ストーリーをガツガツ進めてる感じはしますが、まだまだ理性的でいかんと思うのはホラー映画の見すぎでしょうかね。子供達が異世界で暴れ回るものだったら『ビートル・ジュース』のほうが、テンポも世界観の徹底振りも良かったと思います。
ファミリー向けの保守的な映画でちょっとげんなりしたのは監督の力の入れ具合が中途半端に終わってしまったからでしょう。続作も見るかどうかはちょっと微妙です。悪趣味路線を徹底するならもっと暗くするかネチョネチョベトベトしてほしいな。健全なCGスペクタクル映画作るのなら、とりあえずフループは没の方向で。