未来は今

未来は今 [DVD]
■ストーリー
 時は1958年。NYに巨大なビルが建つ大企業ハッドサッカー社。しかし、突然社長が飛び降り自殺。やり手の重役マスバーガー(ポール・ニューマン)は社長の所有する大量の株を会社が取り戻すため株価を暴落させることを目論む。そこで脳タリンの新社長をでっち上げることに。白羽の矢が当たったのは田舎から出てきたばかりの純朴青年ノーヴィル(ティム・ロビンス)。謎の新社長を探るためノーヴィルの元には新聞記者のエイミー(ジャニファー・ジェイソン・リー)が秘書としてもぐりこむ。しかし、エイミーはノーヴィルの純朴さに次第に親しみを覚えていく…。一方マスバーガーは様々な策を弄してノーヴィルを陥れようと企むのであった…。ジョエル&イーサン・コーエン製作・監督・脚本の傑作ファンタジー
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 うわー、渋いスタッフだなー。主役にティム・ロビンスが来るのも渋いけど、早口のエレベーターボーイ、バーテンにはスティーブ・ブシェミ。共同脚本にはサム・ライミ。脇を固めるジェニファー・ジェイソン・リーも、ポール・ニューマンも僕には十分渋い布陣ですね。コーエン兄弟も今では渋いといわれる立場かな。あまり映画は観たことないんだけどね。
 テンポがよく楽しい映画でしたね。絵が綺麗だし、演技の誇張度合いも小気味いい感じ。特にジェニファー・ジェイソン・リーがノリノリでしたね。喋ったり啖呵きったりするたびにキビキビポーズをとるのが可愛いし、カッコいい。やたら早口でちょっとハスキー入ってるところが可愛らしい容姿をカバーして、やり手の記者を説得力あるものにしてます。ポール・ニューマンの悪の重役はちょっとWWEで見慣れた感じで新鮮味がありませんでしたよ…残念。
 でっかい企業を舞台にしたファンタジーといえば『未来世紀ブラジル』が思い浮かびますが、こっちはファンタジー風味を抑えた感じ。ただ、会社内のセット、特にマスバーガーの部屋の美しさは場面に合わせて光の入り方が変わってとてもファンタジックでしたね。後ろにでかい時計の一部が見えて非現実的でカッコいい。『ブラジル』はかなりブラックでしたが、こちらもややブラック。企業の醜さがコメディータッチでテンポよく描かれてますよ。ただ、『未来は今』は気持ちのいいハッピーエンド。愛と希望に満ちた娯楽映画です。
 
 ただ、この手の映画を観て考えちゃうのはノーヴィルは果たして幸せになれるのかなぁということ。純朴万歳ということだけど、ノーヴィルの純朴さで海千山千の利発な女性エイミーが満足できるのか。尻に敷かれるならともかく、ノーヴィルは幸せになれるのか。そして何よりもハッドサッカー社はノーヴィルみたいな世間知らずの青年が社長になって上手くやっていけるのかということ。アイデアマンはいいんだけど、いるべき地位は社長ではない気がする。こういうこと考えちゃダメだからファンタジー映画なんだろうね。だったら現実味をもうちょっと失くしていいんじゃない?