2001人の狂宴(2005)

2001人の狂宴 [DVD]

2001人の狂宴 [DVD]

 南部のとある小さな村、プリザント・ヴァレー。村はちょうど祭の真っ最中で、ちょうど近くを通りかかった北部の若者をムリヤリ巻きこんで、飲めや踊れやの大騒ぎをしていた。巻き込まれた若者達も、色気を振りまく南部美人ダンディーな南部イケメンに見とれて、ついつい滞在することになってしまう。
 しかし、若者達は知らぬうちに一人、また一人と姿を消していく。不審に思った者たちは村の探索を試みた。そして明らかになった衝撃の事実!プリザント・ヴァレーは150年前に北軍の襲撃に遭い、全滅した村であった。祭は、北部の人間を血祭りに上げて楽しむ、狂気の宴であったのだ!

 偉大なるスプラッター映画の始祖、ハーシェル・ゴードン・ルイスの代表作『2000人の狂人』を40年ぶりにリメイク。DVDは昨年の夏ごろにでたのですが、昨年はホラーの大当たり年*1であったため、他の名作に埋もれてしまった感はあります。オリジナルのもつ無邪気さと陽気さ、そして不気味さは薄れてますが、年月を経て、予算も増えた分、パワーアップされてるところもあり、痛快娯楽作品に仕上がってくれました。
 製作にイーライ・ロス*2、主人公のバックマン市長に我らがロバート・イングランド*3。予算も演出も格段にオリジナルからアップしています。セクシー要員も殺しのバリエーションもオリジナルから大幅増加。前回は白人のジョックスばかりでてたけど、今回はモテない眼鏡君に、中国人女、黒人男と、ターゲットもバリエーションが増えました。大儀は「北部の連中への復讐」なんですが、我らがフレディは大して気にしません。手間暇をかけたアトラクションで皆殺しです。
 プリザント・ヴァレーは150年前から時間が止まっているので、現代の若者との明らかなカルチャーギャップが描かれてます*4。村には電話も車もありません。南部イケメンの女の誘いかたは、古風で妙に紳士的*5です。あと、若者達には黒人が混ざってるんですが、彼に対する蔑視がひどい。ホテルの使用人は黒人に世話をすることをものすごく嫌がるし、ことあるごとに市長は黒人につっかかります。奴隷制度撤廃は賛成の反対なのだ!
 相変わらず牧歌的で、押し付けがましいプリザント・ヴァレーの皆さんはよかったですね。フレディのクドい演技も胡散臭い市長にぴったりでした。ルーファス&レスターやサド少年ビリー(本作ではハックルビリー)の影が大分薄くなった変わりに、ほとんどフレディのワンマンショーと化している感はありますが、町民をアジり、獲物を恫喝し、最後にはアクションまでやってしまう活躍っぷりには驚かされるばかりです。
 
 前作の魅力はどこまでもとぼけた陽気さと、不自然なハイテンションさ。そして、からっとしたスプラッターだったんですが、逆にフレディのおどろおどろしさが少し前作の良さを損なっていたかなとは思います。

*1:『ディセント』『サイレント・ヒル』『マスターズ・オブ・ホラー』『ファイナル・デッドコースター』『ハイテンション』『デビルズ・リジェクツ』『ホステル』などなど。しかし、昨年はさほどホラーは観なかった。残念!

*2:キャビン・フィーバー』『ホステル』

*3:エルム街の悪夢』のフレディですよ!

*4:オリジナルはちゃっかり電話がでてくるなど、適度に近代化した村だった

*5:しかし、女はみんな直接的だ!下着で歩いてるぞ!南部女すげえ!