ブラック・ダリア(2006)

■ストーリー
 1947年、ロサンゼルスで実際に起きた猟奇殺人事件、「ブラック・ダリア殺人事件」。殺害されたのは女優志願の美少女エリザベス・ショート。胴体が切断され、洗い清められているという死体の猟奇性。発生当時からあまりにもセンセーショナルに報じられたにもかかわらず、迷宮入りしてしまった犯罪史上に名を残す怪事件だ。
 ロス市警のバッキー・ブライカート(ジョシュ・ハートネット)とリー・ブランチャード(アーロン・エッカート)は二人ともボクサーあがりの名コンビ。二人は特捜課でマフィアを追っていたが、捜査の途中でブラック・ダリア殺人事件が発生。リーはこの事件に異常な執着を見せ、私生活の全てをこの事件に注ぎ込むことになる。
 リーには同棲相手のケイ・レイク(スカーレット・ヨハンソン)がいた。ケイはバッキー、リーと行動を共にしていたが、徐々にバッキーに心を寄せていくようになる。
 バッキーもまた、ブラック・ダリアに魅せられていた。彼は捜査の途中でナイトクラブで美女に出会う。彼女の名はマデリン(ヒラリー・スワンク)。黒髪に黒いドレス、まさに生きたブラック・ダリアそのものであった。マデリンと関わるうちに、奇怪なマデリン一家の秘密、そしてマデリンとブラック・ダリア=エリザベス・ショート(ミア・カーシュナー)の関わりが見えてくる。マデリンに惹かれるバッキーもまた、ブラック・ダリアの闇に引きずり込まれてしまうのか。

 タバコに帽子にサスペンダー、暗い映像、闇の社会。ここに白肌輝くヨハンソンが映えます。
 ストーリーは、オツムの足りない僕の頭だと、登場人物の数が多いし、関係も入り組んでるからついていくのがたいへーん!特にリーの関わる部分は説明台詞が多くてよくわからんかったっちゃ!小説原作のミステリー映画って、膨大な文字数を縮めるのがどうしようもなく、難しくて、駆け足気味の脚本になることが多いけど、本作も例に漏れず。仕方がないといえば仕方ないけど、デ・パルマの見所はどちらかというと、映像なので。
 だから、映像はさすがにカッコイイですよ。みなさん言ってますが、階段での攻防はスローモーションも、殺しのドレス的ナイフのポジションもぐっときますぜ。ブライアン・デ・パルマは映像テクニックに長けた人らしく、確かにドレスも、アンタッチャブルも、ファントムも絵がとっても楽しい。マデリンと出会うナイトクラブも豪華絢爛で、いかがわしくてよかったな。あと、マデリンがヒラリー・スワンクっていうのは、やっぱり嘘ですねえ。めくるめく陰謀の中心にいる美しき魔女って容姿じゃないよなあ。
 主人公は潔癖なほどの正義感の持ち主なのに、堂々と二股かけてて、ばれても大したことにはならないなど、全然共感できないというか、スカーレット・ヨハンソンをたぶらかすなんて嘘だろ!逆だろ!と思ってしまったりと思うところはありますが、つまりはエルロイ&デ・パルマ映画では、やっぱり『アンタッチャブル』のほうが面白かったなあということなんです。
 デビッド・リンチが監督したら面白かっただろうなあ。アーバンなツイン・ピークスになるだろうな。