Mr.インクレディブル(2004)

Mr.インクレディブル [DVD]

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■ストーリー
 ある事件をきっかけに夫の過去を巡る黒い疑惑が浮上、平穏だった一家が暴力と罪の渦に呑み込まれていくさまを、リアルでショッキングな暴力描写とともに綴る衝撃のサスペンス・ドラマ。

 
間違えた、これは『ヒストリー・オブ・バイオレンス』だった。
 

 常人にはないスーパー・パワーを持ち、世界の平和を守るスーパー・ヒーロー達。力持ちでタフなMr.インクレディブルもその一人だ。Mr.インクレディブルは同じくスーパー・パワーを持った"女ルフィ"イラスティ・ガールと結婚。充実した生活を送っていた。
 しかし、目立った行動と、活動に伴う器物破損から訴訟が絶えず、「スーパー・ヒーロー保護法」が成立。ヒーロー達は法律で保護される代わりに一切のスーパー・パワーの使用を禁じられたのだ。
 ヒーローを引退したMr.インクレディブル。就職した保険屋は凄まじくストレス溜まるわ、正義感が刺激されるわでウズウズしてしまう。Mr.インクレディブルの家族も恋に反抗期に育児に問題山積みだ。親父は家族をほっといて、見るからに怪しいスーパー・ヒーローを活躍させる秘密組織にホイホイついていってしまう。インクレディブル家に迫るのは家族の危機に世界の危機!

 よくある話です
 って、いうじゃないですか、よく。
 でもさ、「よくある」って一体どの部分が「よくある」トコロなんだよ!
 言ってみろコラ!って、僕がよく言うんですけどね。うん、よくある話なんですわ。
 
 冒険に繰り出す登場人物たちにはそれぞれ使命というものが課されています。これが「グエムル」だと、強烈過ぎる家族愛から、使命は家族の集結団結と熱い熱い統一感を持ってるわけですが、この「インクレディブル」だと、いささか趣が異なってきます。家族愛を取り戻すというよりも、それぞれが自信を取り戻す物語。オズの魔法使いですねえ。それぞれの原因は概ね自分の持つ力が認められないことに端を発しているんですが、超能力に出し惜しみなし!素晴らしい!
 特に奥さん頑張りすぎ!伸縮自在のゴム人間って、インパクトがあり、どうしても存在感というものはでてしまう。X-menサイクロップスしかり、ワンピースのルフィーしかり、ちょっと苦しいけどT2のT-1000しかり、脇役だけどスト2のダルシムしかりだ!アメコミの美人って、マッチ棒みたいに線が細いんだけど、奥さん棒を線にして、体を伸ばす伸ばす。おいおい、千切れるんじゃないかってくらい伸ばす。家族の中では一番有能なので、こき使われてますが、何度か家族の乗り物にされており、けなげながんばりっぷりは泣けてくるほどです。
 敵の秘密基地に突入してからは、もう家族総出で暴れまくり。超能力で期待させる絵的な面白さがこの映画には存分に詰まってます。ピクサーは僕らの期待を裏切らない!
 家族が暴れまわるまで、主人公達は鬱憤を溜め続けるわけですが、ここでは主人公のMr.インクレディブルのダメっぷりが光ってます。自信を失うと、やる気をなくし、活力がなくなりブクブク太る。昔の写真でノスタル自慰に浸る。おだてられると木に登り、ものすごいシェイプアップを実行する。で、切羽詰って余裕のないカミさんよりも、自分を認めてくれる美人についつい目移りしてしまう。うわあ、ダメだ、この人。超親近感わきます。この映画が面白いのは、ヒーローの苦しみを妙に丁寧に作る上に、不快感よりもコミカルさが表現されているところでしょう。こっちのほうが、主人公を応援できるし、カタルシスもある。
 つまり、前半も後半も痛快で面白いってことですよ。
 
 で、どこが「よくある話」なんだって?それは答えられないなあ、うふふん。