悪魔とダニエル・ジョンストン(2005)


 ダニエル・ジョンストンって、全然聞いたこともなかったアーティストなんですが、知る人ぞ知るって感じの人なんでしょうかね。id:buntaと一緒に観にいったんですが、彼もソニック・ユースがダニエル・ジョンストンをカバーしたことを知っている程度で、彼の歌を聴いたことはなかったとのこと。
 内容はミュージシャンとして彼の業績を讃えると共に、躁病と誇大妄想に悩まされるエピソードを織り交ぜていくというもの。日常をテープに録音してたり、ビデオで撮っていたりと彼の半生はほとんどが記録されており、リアリティと緊迫感があります。
 サーカスからアート・スクールそしてオースティンと波乱万丈な人生に、薬・暴行・飛行機事故と強烈なエピソードが並び、強烈ではあるんですが、関係者のインタビューの迫り方が物足りなかったり、ドラマの構成が淡々としていたりで、楽しめるかというと難があります。
 インタビューでは本音と素の感情を引き出してたと思えるのは両親だけでした。絵に表現されてるダニエルの苦しみに迫ろうとしてる思いは、やはり両親から一番強く感じます。悪魔がスティグマになっているので、保守的なキリスト教教育がトラウマになってる部分もあるのでしょうが、ダニエルの救いと支えは彼らにかかっているんでしょう。id:buntaも「両親がダニエルを支えられなくなるほど年とったらどうするんだろう」と気にしてました。