エターナル・サンシャイン(2004)

■ストーリー
 おとなしくて内気なジョエル(ジム・キャリー)と衝動的で感情的なクレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)は、どこからどう見てもミスマッチなカップル。案の定別れたんだけど、彼女を忘れられない自分に気づいた傷心のジョエルはバレンタイン直前に驚愕の手紙を受け取るのです。「クレメンタインはジョエルに関する一切合財の記憶を消し去りました。今後、彼女に干渉することのないように」
 むかついたジョエルは、自分もクレメンタインの記憶を失くしてしまおうとするのですが、手術の過程に見るクレメンタインの夢は、思い出が消え去っていく心の痛みをジョエルに気づかせるのです...。

 連盟には他に『ラン・ローラ・ラン』のローラ、『シャークボーイ&マグマガール 3D』のマグマガール*1あたりが連なります*2。どの映画も、どこかぶっ飛んでますが、本作もいろんなものがフォーガットン!していく描写がなかなかぶっ飛んでていいですよ。なんか、こう書くとインチキSF映画みたいだな。
 あー、これ去年みたんですよね。友達に勧められたんです。観たときは結構感動したんだけど、今考えると他愛もない映画なんですよね。時間をおくとダメだなぁ...。
 監督がCM畑出身だけあって、映像が非常に面白い。記憶が失われていく過程は恐ろしいです。夢の中を歩き回る閉塞感や不安感も見事に表現されてます。顔のないイライジャ・ウッド、逆回しと普通に時間進行してる映像の併用など、いろんな映像ギミックが多用されてて、これを眺めてるだけでも、すごく楽しい。
 音楽も見事。基本的にうといし、表現する言葉もないんですが、全体的にくぐもっているような音(!?)が、しっとりした切ない映画の雰囲気に合ってていいですね。もちろんクライマックスに向けて叙情的にグイグイ盛り上げてくるのも音楽の功績がかなり大!ですよ。
 役者のはまりっぷりも素晴らしい。全身原色のハイテンション女子がケイト・ウィンスレットなのはどうかと思いましたが、なかなかどうして、やってのけてくれましたよ。「いかにも」な女の子が演じるよりかはウィンスレットの容姿と落ち着いた演技力が余計な反発を起こさなくてかえってよかったかもしれません。全然関係ない話ですが、ウィンスレットはこれからも痩せずにアンチスリム/グラマー推進運動を引っ張っていってもらいたいです。 背伸びがちで、ちょっと軽率で、そしてやっぱり感情的な看護婦メアリーにキルステイン・ダンスト*3。これも妙にリアリティを感じました。この映画、女性像は薄いんですがね。
 明らかに女の描き方が下手くそなんで、女性が見たら楽しめるかどうかはわからんです。クレメンタインもメアリーも、女性像が妙に男に都合がいいというか、薄っぺらいというか...。最近、Zガンダム見てるんですが、あれにでてくる女性キャラクターに感じる不満と同じものがあります。男が女をリアルに描こうとすると、よくヒスもちというか、感情的な女の子が出来上がるのはなぜでしょう。
 ジム・キャリーは、シリアス路線の映画はこれが初めてですね。実は『トゥルーマン・ショー』が未見なんですよ。コメディ俳優が真逆のシリアス路線に走るのはなんか抵抗あるんですよね。しかし、しかし、童心や純真さ、悲しみを表現するときのジム・キャリーは卑怯。子供時代のマイムだけで、涙を一リットルは搾り出せますよ。世界最高峰の顔芸は伊達じゃないですね。
 ストーリーは臭いし、強引ですが、下手にひねるよりかは好感が持てますよ。SFを使って抵抗感をなくしているのもいいんじゃないでしょうか。

*1:マグマ攻撃がゲロにしか見えない!

*2:フィフス・エレメント』のリールーもいた!なんだかちょっとパッとしなかった映画ばかりですね。オホホ...

*3:この人はいつ見ても目が病んでますね。化粧しても肌が悪そうな印象を受けてしまいます。