処刑軍団ザップ(1970)

■ストーリー
寂れた小さな田舎町にヤク中のヒッピー集団がやってきた。姉貴をレイプされ、親父を傷つけた奴らを復讐せんと怒りに燃える息子はヒッピーにもてなすビーフパイに狂犬の血を注入した。しかし、狂犬病は少年の想像を超える恐ろしい病であった。狂犬となった野蛮なヒッピー達が今、村人に襲い掛かる!

 えらく物々しいタイトルですが、それもそのはず。初めてMPAAからXレーティング(成人指定)くらった映画なのです。今見るとたいしたことないけど、確かに無駄に血が流れたり人体切断が多かったりするかもしれない*1
 映画の中での狂犬病ですが、当然実態からかけ離れています。結構すごい理由で感染するので実際にお確かめあれ。
 二年前に公開された『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1968)の影響は確かにあるでしょう。狂犬病にかかったヒッピーは確かにゾンビとの違いは大きいですが、なんか意図的にパクリを避けているように見えます。「あっちが火が苦手なら、こっちは水だ」みたいな。正々堂々とパクりたおした『悪魔の墓場』(1974、もちイタリア映画)があまりに無節操なので、また『ゾンビ』以降のフォロワー映画はロメロのゾンビ像にかなり忠実であるため、『ザップ』がゾンビと定義しにくい状況になってますが、ゾンビ映画でいいんじゃないですかね、これ。
 淡々と狂犬病は蔓延し、淡々と物語は進みます。う〜ん、面白くない。水をパシャパシャかけたり、立て篭もるにも鍵なんてかけない緊張感のなさ。これが売りなのか?
 
 本作の見所は映画に現れたヒッピーカルチャーらしい。確かに映画の至るところでノイズがキーキーいってたのはすごかった。ヒッピー連中もフリーセックスにLSDとやりたい放題。
 彼らにはモデルがあるらしい。チャールズ・マンソン率いるマンソンファミリーがそれ。ヒッピーになった若者を集め、カルト教団を開き、セックスと薬を駆使して支持者を集めたらしい。この教団は非常に無慈悲な殺人で知られ、一番有名なのはロマン・ポランフスキー監督夫人、シャロン・テート殺害事件ですな。このとき壁に"PIG"という言葉を書いていたそうですが、本作でもきっちりオマージュされてます。なんだこの不謹慎な鬼畜映画。
 映画に出てくるヒッピーメンバーはオカルトな中国女にオネエな黒人男、ヤリマンに妊婦に無口な美少女とケレン味に溢れててヒッピー文化が云々と語るのもアレな気がしますが...。

*1:最低映画さんの情報によると公開は78年でした...。さすがにこの年だとインパクトないなぁ