うる星やつら２ ビューティフル･ドリーマー

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー [DVD]

■ストーリー
いよいよ学園祭を明日に控え、ドタバタ準備を進める友引高校の面々。先生も生徒も連日徹夜作業で忙殺されていたので、友引高校周囲、仏滅町全体が妙な変化を起こしていることに気づいているものはいなかった。そして迎えた翌日。いよいよ学園祭を明日に控え、ドタバタ準備を進める友引高校の面々であった。

　知る人ぞ知るカルトアニメの傑作ですね。劇場版パトレイバーや劇場版攻殻機動隊など、オリジナルのアニメを独自の色に染めてしまう押井守監督作品であります。本作も高橋留美子のラブコメをシュールなSFに仕立て上げて彼の代表作になりました。近所のレンタルビデオ店、うる星やつらのDVDは本作しか置いてません。
　本作見るに当たって予習ゼロ。うる星やつらは浮気なアタルにラムちゃんが電気でお仕置きするラブコメってことしか知らなくて(主人公がアタルって名前ってことも知らなかった･･･)、背景や登場人物の知識は皆無に近かったのですが物語には簡単についていくことが出来ました。高橋留美子のキャラクターは性格、関係が単純極まりないから非常にとっつき易いですな。さすが娯楽漫画の女王。
　
　内容は、80年代によくある終末ものですが、題材が高橋アニメなので能天気で底抜けに明るく、テンポもよい。世界は終わってるけど物資は無尽蔵にあるのでパラダイスなわけです。ホラー愛好家が本作を見て『ゾンビ』を思い出す気持ちは非常によくわかりますよ。アタルたちのボンクラな騒ぎっぷりをみても本当に楽しそう。意地汚い食事風景や、就寝時の暴れっぷりなど、毎日が修学旅行みたい*1。学生時代に変わる事のなかった「永遠の日常」のなんと甘美だったことか。取り返したくても、取り返せない。泣けてきます。
　押井守の映画って、とにかくブツブツブツブツやかましいから苦手なんですが、本作は意外と映像美で魅せているので楽しめましたね。パノラマ島のような奇怪で魅惑的な友引高校、荒廃したけどギミックいっぱいの仏滅町と楽しませてくれます。メルヘンやファンタジーに傾倒しない不思議な世界というのは嫌いじゃないです。謎解きが始まってから、パノラマぶりは加速。押井さんって、こういうのも撮ってたのねぇ。
　観客を不可思議な世界に迷い込ませる異次元映画にありがちなテンポの悪さはなく、痛快で不思議な気分を味わえます。これは結構新しかったです。掘り出し物(古くて有名だけど)。

*1:パラダイスのシーンは結構短いのが玉に傷