悪魔の墓場

悪魔の墓場 無修正特別版 [DVD]
■ストーリー
前半「なんか死人が襲ってくる。みんな信じてよ!」
後半「ゾンビがいっぱい!逃げろー!」
 
 知る人ぞ知る、イタリア版『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』…と一般には認知されているようですが、本家とは大分違うつくりになってますよ。違いといってもだるくなったストーリー、だるくなった演出と、要はチンケになっただけなわけですが。前半の「誰も信じてくれないのー」ってくだりがオリジナルと違いますが、かなりタルい。ゾンビが集団で暴れまわるまで実に50分。なげーよ!ファンの方はゴシックな雰囲気や、ゾンビが気に入ったりしているようですが、この50分は早送りしてるのかな。モンスター映画の展開として月並みというか古臭いというか、陳腐もいいところで「信じてもらえないのはわかったから、さっさとゾンビを出せー」っていいたくなるでしょ。
 しかし、後半になると、『ナイト』を髣髴とさせる展開が次々と繰り出されます。火が苦手というのは懐かしいなぁ。あと異常な怪力というのも最近では使われないギミックですね。オチも本当にまんま『ナイト』です。
 イタリア映画って監督はフルチやアルジェントとかしかしらなくていろんな意味でスゴイ映画ばかりできる変な国だなと思ってます。違うのかな。ちなみにドイツになるとヨルグ・ブットゲライトとオラフ・イッテンバッハ*1しか知らないので、もっと凄いことになってます。血しぶきが飛び散り、バコバコ人体がぶっ壊れる映像が大好きな国なんだろうな。
 イタリアすげぇと思ったのはパクりっぷリだけじゃなくて、いい加減な映画作りにもあるわけで。ぶったまげたのは冒頭。いきなり全裸の女が道路を駆け回ります。理由の説明もなく、ゾンビ以上に不思議な生体なんですが、ストーリーとの関係は一切なし。
 あと、ストーリーではロメロのゾンビシリーズは社会批判も含まれてますが、こちらもかわいく環境問題に取り組んでます。ゾンビ誕生の原因が殺虫剤がわりに散布する放射能なんですが*2、「放射能ばらまくのよくないよ!自然は自然のままにしよう!」なんて、とってつけた感まんまんなんです。監督とかきっと平気で遺伝子組み換え食品食べてるよ。
 社会批判といえば、この映画は過剰なまでに警察への不信感が描かれてますね。主人公達は捜査のために警察から証拠品を盗むは、パトカーを盗むはでやりたい放題。曰く「警察は信用できない」。さらに「主人公を誤って殺してしまうのも警察」です。なんか環境問題とかよりもこっちを深読みしたくなるんですが。イタリアの警察ってやばいのかな。

*1:二人とも知らなくても調べる必要ないです。道踏み外しかけます

*2:放射能を感じさせる不穏な音がゾンビを予感させるという演出はよかったですね