SAW

SAW ソウ DTSエディション [DVD]
 うわ、さっき公式HPみたらストーリーの流れが全部わかるようになってるよ。一応ネタバレ注意はされるけど、いいのか!?
 『CUBE』好きな人が見ると外れないと思います。同じ毛色の作品。不条理サスペンスです。雰囲気はダークな感じで『セブン』とかに近いかな。面白いけどちょっと痛くてグロいので苦手な人は注意ですね。

■ストーリー
ローレンス・ゴードン医師とアダムは起きると全く見知らぬバスタブの中に。二人は鎖で足をつながれており、二人の間には自殺した死体が…。ローレンス・ゴードンは二人を監禁したと思われる異常犯に心当たりが…。説教くさい監禁魔「ジグソウ」との長い長い知恵比べ。

 お茶濁し程度のメイキング見たけど自主制作ですか。監督も脚本家もめちゃくちゃ若いし。それにしては映像も分かりやすかったし、演出もスピード感ありましたよ。脚本も不自然な点は気づきませんでした。セットも役者も多くてカメラも高いの使ってそうですね。『死霊のはらわた』『悪魔のいけにえ』『バッド・テイスト』に比べると最近のインディーは恵まれているんだなぁと思いますよ。『悪魔のいけにえ』は出演者もセットもカメラも金かかってないのが丸分かりだし、音楽も全然使われてません。『バッド・テイスト』も内臓とかロケットハウスとか力入れてたけどやっぱり本作と比べるとA級とB級くらいの差は感じます。そういえば『CUBE』も立方体のセットひとつだけで低予算ながら完成度の高い映画になりましたね。ロケと役者の多い『SAW』はやっぱり予算の多さを感じます。
 最近はリメイクや続作のオンパレードで不調のハリウッドですが、映画業界を支えるのはインディーの活力にかかってると思います。今元気なサム・ライミピーター・ジャクソンもインディーホラー出身ですからね。今でもインディーや外国映画への関心は強いのか知りませんが、『SAW』のような元気なインディー映画がこれからもでてきてほしいですね。インディーでも特にホラー。『SAW』脚本家もホラー映画が好きなようで。ホラーって単純なストーリーと抽象的なイメージを共存しうる稀有なジャンルなんですよ。ホラーで面白い演出ができるなら他にどんなジャンルでも楽しめるものが作れるはずだ!と思ってるのは僕だけでしょうか…(本作はわりと脚本勝負で特殊な部類に入ると思いますが)。最近は映像に対する規制はどんどん強くなってきている傾向にあるようです。ホラーに対するリスペクトが失われていくのは物悲しいものがありますね。「ジグソウ」のアイデアは割りと猟奇的ですが、メジャーに進出するとこうはいかないでしょう。ハリウッドで今も元気にホラーやってる人ってポール.W.S.アンダーソンぐらいじゃないかなぁ。和製ホラーにのまれちゃダメですよ。ロメロゾンビが復活したし、クローネンバーグも久しぶりに新作撮るみたいだから、これが喝になればいいですね。
 閉じられたバスタブのシーンは序盤と終盤のみで中盤はひたすら「ジグソウ」の正体にまつわる伏線張りが続いてます。ミスリーディングが大部分なんですけどね。普通にこいつだろ、こいつが「ジグソウ」だろと当てっこしてても楽しめると思いますよ。僕は外しまくりました。幾人か目星をつけてたけど見事に外れましたよ。ラストはじっくりバスタブで物語を展開してくれます。ぐんぐん物語もスピードアップしていくので興奮しますよ。お決まりのどんでん返しですが…あれは許せる人と許せない人がいるんじゃないですか。僕は許容範囲ですが、笑ってしまいました。「末期のガンだからといってずっと死体のフリしてるなんて、無理ありすぎだろう。普通バレるでしょ。」いやいや、そんなことじゃなくて、普通にあまりに突拍子もないラストだったので笑っちゃったんですが。
 普通に完成度高くてソツない作りだからあまり言うことないな〜。演出の非道っぷりも結構好きなんですがね。血や死体に対する嫌悪感をかき立てる映像は性格悪くて好感が持てましたね。これ、じっくりネチネチやるとスプラッタースリラーになります。血がどくどく流れてくるし、肉体は結構破損するし、ホラーマニアが見ても結構楽しめる映画だと思います。音とか、映像とか、時々狙いまくったシーンがありますよね。ホラーはスリラーも包含してますけど。
 とりあえず、童貞刑事タップの扱いはなんとかならんのだろうか。