死霊のしたたり2

死霊のしたたり2 [DVD]
前作のネタバレ注意
 最近何度も何度も事前に注意書きしてスイマセン...。前作とのつながりが結構強い作品なんで、仕方ないす。これだけピンで見てもわけわかんないんで前作最初に見たほうがいいですよ〜。
 前作から失われたものもあれば、新たな魅力も見出されているので、傑作ホラーの続作としてはマァマァではないんでしょうか。スタッフの変更が結構露骨に映画に影響しています。まず、失われたものとしてスピーディーでテンポのある演出が挙げられるでしょう。これは前作で監督だったスチュアート・ゴードンの降板が大きいと思います。本作の監督は製作者であるブライアン・ユズナが兼任していますがダルダルで印象に残りそうにないオープニングからゴードンとの差は歴然です。前作のレビューでは『ブレインデッド』とやたら比較していましたが、緩急のついたテンポのいい演出は『死霊のしたたり』に軍配が上がるでしょう(『ブレインデッド』はゴリゴリの力押しという感じで、これはこれで独自のよさがあるんですが...)。そして、本作で加わった新たな魅力は迫力の増した映像でしょう。2で新たに特撮スタッフとして参入したのが日本が誇るモンスターメイカー、スクリーミング・マッド・ジョージ(谷譲治)です。ジョージのおかげでスプラッターのレベルも大幅アップ、さらにモンスターを量産できるストーリーとも兼ね合い、ジョージの想像溢れるマッドなモンスターが画面狭しと大暴れしてくれます。クライマックスのモンスター大量登場の迫力はエンディングが実はグダグダでも全然許せちゃう狂気っぷりをみせていますよ。
 ストーリーの説明行きます。前作ではゾンビの群れに襲われて死んだかと思われたハーバート・ウエストはケロッと生還。本作でも命をモノとも思わない冷酷無比の鬼畜っぷりで「実験だ!実験だ!」と元気にゾンビを量産してはトラブルを引き起こしてます。前作で盗作教授と散々馬鹿にされながら人を操る技術を開発していたり、実はすごい教授じゃないのか?と思わせたハーバート・ウエストのライバル、ヒル教授でしたが本作でも新たなる技術、人間の各組織をくっつける技術の原案を研究した人になってました。そんな設定前作にはなかったんだけど気にしてはいけない。なんだかんだいって、やってることはハーバートよりよっぽどすごい(ことになってしまった)ヒル教授。しかし、生き残っているのはハーバート、死んじゃったヒル教授の研究をさっさと盗んでは組織をくっつけて再生させる塗り薬を開発したのでした。どんな組織でもくっつけちゃえば新たな生き物として再生するのです。早速ハーバートは死体置き場から腕やら足やら盗んできていろんな生き物を作り出すんでした。一発目の人間の指と目ん玉をくっつけたクリーチャーからインパクト十分だ!すごいぜマッド・ジョージ!この塗り薬を使って前作で死んじゃったダン・ケインの恋人、メグを復活させようというのです。しかし、前作で既に人外の魔物になってしまったヒル教授も生首のまま復活をとげハーバートへの復讐に向かうのでした…。
 本作の魅力として、先が読めるストーリーなんだけど期待を持たせ、それに十分応えるという形を持っているのでストレスを感じさせない展開になっている点が挙げられます。ヒロインのまわりをやたらとうろつく自己主張の強い犬なんてハーバートの餌食になるに決まってるし、ピノコよろしくいろんな人体をつなぎ合わせて間接部分は肉丸出し、心臓だけメグの人造人間なんて成功するわけないんです。このへんを期待の倍返してくるので「したたり」シリーズは面白いんでしょう。
 スクリーミング・マッド・ジョージの生み出したクリーチャーの存在感は圧倒的だし、メグ再生のストーリーもきちんとまとまってるので演出がちょっとタルくなってるのは本当に惜しいですね。ヒル教授は前作よりはるかにパワーアップしてますが出番が少なく印象も薄くて残念。ゴードンが監督に入っていればスプラッター史に残る傑作になっていたかも。
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