まずは前田日明から

前田日明メモリアル(1) デビュー?第一次U.W.F.まで [VHS]
 プロレスに触れたのは、大学の友達にグレート・ムタの試合をやたらとたくさん見させられたのがキッカケですね。確かにムタの試合は面白かったんですが、なぜか私の琴線に触れたのは日本のプロレスではなくアメリカのWWE(当時はWWF)でした。
 その後は特に日本のプロレスに夢中になることはなかったんですが、やっぱりはまっていくと、他のスタイルにも関心が向くわけです。そこで、敢えてエンターテイメント性とは全く無縁そうなUWFに触れてみようと思った次第なんです。最近前田さんが表舞台に現れたので、いい機会かなと思って、前田日明特集のビデオを借りてみました。
 僕にプロレスを勧めてくれた人はガッチガチのストロングスタイル信者でWWEのエンターテイメント重視のスタイルには蔑視のようなものまで感じていました。*1*2WWEとあまりに違いが大きいなら逆に面白いんでないの?客に媚びず、ロープワークやトップロープからのジャンプなんてやんない。そんなレスリング、私は見たことありません。新しい世界にちょっと飛び込んでみます。
 ビデオの内容は、前田さん引退記念ということで割とキレイに作られてますね。試合のダイジェストの合間に、前田さんのプロフィールやインタビューが流れるといった構成です。インタビューは結構ストレートな物言いが多く、佐山さんへの言及は痛烈でしたね。ヘタしたらプッツンきてボコボコにしてくれそうな異様な緊張感をビンビンに発していたのは前田さん独特のオーラなんでしょう。今回見た黎明編は第一次UWF時代まででしたが、メチャクチャアクの強そうな前田さんや佐山さんが揃っているわけです。舞台裏はひと悶着もふた悶着もあったでしょう。そういうのがあまり語られなかったのが不満かな。ビデオ自体が短いしドキュメンタリー部分に時間を割けなかったというのはあるかもしれませんが、収録試合がどれもこれもダイジェストで話にならねぇ!こんなのだったらガッツリ削って少ない試合をフル収録するなりインタビューを増やすなりしてくれぇ!
 まぁ、私みたいな前田さん超初心者にとっては逆に濃すぎず吸収しやすい内容でしたから、結果的にはよかったのかな。
 漠然ながらUWFスタイルの試合というのも伝わりました。ガチでもなくプロレスでもない全く新しいスタイルで新鮮でしたね。打撃のキレや関節技の説得力が全然違う。レスリングの応酬がハイクオリティなので、関節技もスポーツライクに実際に締め上げているように見えるんですよね。選手が痛みを誇張しなかったり、レフェリーが異常にフォールに厳しいのもリアリティを感じさせます。これ見ると日本のプロレスファンが何かあるとガチだのヤオだの叫びたくなる気持ちもわかりますよ。
 試合内容はいずれもダイジェストで見るべきものはあまりなかったんですが、佐山スーパータイガーの攻撃のキレはビックリした。佐山対前田は確かに他の試合と一線を画している印象がありますよ。レスリングの応酬もスープレックスの強烈さも、キックの鋭さもタイガーの動きは目を見張るものがありましたね。時代を築いただけはあるなぁと驚かされましたよ。
 うん、今回は結構勉強になりました。借りてよかった。

*1:ストロングスタイルっていうと、プロレスにおいて、レスラーの強さや格闘技路線を重視して、異種格闘技なんかもやっちゃったりするスタイルのことですね。これを極端にしたのが前田率いるUWFだったと思います。これ、流れや華のほかに強さ、痛さ、真剣さが重視されてしまうので、今のPRIDEやK-1快進撃の下地になってますよね。真剣勝負を重視するような価値観がストロングスタイルからUWFまでガッチリ根付いていったんでしょうね。日本でもU以前は総合格闘技はぜんっぜん流行ってなかったわけですから。

*2:最近は格闘技人気がPRIDEやK-1MAXに持っていかれているし、元気のあるプロレス団体も少なく、友達もプロレスLOVEがしぼみかかっているようです。