トルク

トルク [DVD]
 一昔前には木曜洋画劇場でもこういう直球のアクション映画がよく流れたんだ。愛、遺恨、友情、勝利。よくあるアクション映画の筋書きを並べただけの中身のないストーリー。なまじっか筋通ってるからカルト化しないB級映画たち。近年はインディー映画でもこういう直球映画はなかなか見なくなったね。
 本作、トルクが妙に人気があるのも、木曜洋画劇場によせるある種のノスタルジーがあるのかなと思ったり。
 本作のレビューを書いている人はみんな言ってるんだけど、頭悪い映画だよ。本当に頭悪い映画。バイク知らない人がバイクギャングのイメージをそのまま映画にした感じ。ただ、繰り広げられるアクションは超非常識、超爽快で本当にスカッとする。久しぶりにアクション映画で破壊のカタルシスを得られた気がするよ。これは気持ちいい。でも登場人物たちがなぜかやたらと喧嘩っ早くて序盤なんか3分ごとに(殺し合いの)喧嘩していた。確かにカタルシスに重きをおくのはいいんだけど、ストーリーすすまないし、冗長なんだ。おまけに序盤は説明台詞ラッシュが続いてちょっとげんなりしたしね。
 見ればわかると思うけど、この映画はアクション場面での演出にすごく力が入ってるんだ。これは確かに映画館で見た人がうらやましくなるよ。非常識なストーリーや物理現象に小言をいう映画じゃないんだね。ラストの10秒で時速300km飛ばすモンスターバイクをノーヘルで突っ走る場面はバカバカしさを通り越して感動を覚えるよ。突っ走る映像感覚があまりに心地よくて足が震えてたもんね。
 破綻してたり、単純だったり、退屈だったりするストーリーに目をつぶって演出に注目すべき映画なんて結構いっぱいあるでしょ。トルクも普通に良質の娯楽映画なんだけど、アメリカでの評価がイマイチなのはストーリーが頭悪いからだろうね。一昔前は本当に吐いて捨てるほどアクション映画が大量に出回っていたけど、映画ファンの多くは食傷気味なんだろう。典型的なアクション映画の筋書きに頭の悪い登場人物たちを見て、げっぷが出たんだろうね。
 
僕がトルクを見たくてたまらなくなった破壊屋さんの名作レビューへのリンクも貼っておきます。
http://hakaiya.web.infoseek.co.jp/indexlog/0410.html