地獄のアングル

地獄のアングル―プロレスのどん底を味わった男の告白
 プロレスにも様々な黒歴史がありますが、中でもひときわ燦然と輝く存在、それがWJといえるでしょう。活動期間は一年強と非常に短い間でしたが、数々の伝説を残しました。本書はWJのフロント側トップの永島専務の立場から見たWJの興亡史となっています。
 前半は新日で成功してた頃を振り返る展開になってて、またこれがよくある人情を強調した自慢気味の文章で情けないんだけど、後半の失敗と泣き言ラッシュへのアクセントになってます。
 素人から見てもまず過ぎる経営体制が痛々しいこと限りない。旗揚げ六連戦、X-1の大失敗。後楽園ダブルブッキング事件と悲劇を通り越して、笑ってしまう失態ぶりです。
 新規参入で存在感を示すといったら、ロジャー・コーマンポール・ヘイマンのようにしつこさとカリスマ性、そしてまわりを従わせる権力が必要なんですね。永島専務はもろさ、弱さ、あきらめのよさが見えます。
 組織をやりくりするためにわりと成功者といえるヘイマンや、コーマンから学ぶ点も多いと思いますが、ひたすら失敗を繰り返すwjはスケールに親近感を覚える。というか、失敗のレベルが大学生のサークルorバイト感覚なんだけど・・・。
 しかし、wjという団体の神がかった失態っぷりはプロレスファンじゃなくても楽しめますよ、きっと。映画『ロスト・イン・ラ・マンチャ』をスケールダウンして自業自得度を上げたみたいな感じ。こっちは読みながらツッコミましょう。あまり前向きじゃなくて泣き言だらけだけどオススメよ。