ヴァンパイア-最期の聖戦

ヴァンパイア 最期の聖戦 [DVD]
すげー面白いってわけでも、これというインパクトがあるわけでもなく。だからといって噴飯もののクソ映画というわけでもない、平凡なB級映画でした。こういうの扱いにすごく困る。
 ヴァンパイアで西部劇をやるというのが監督ジョン・カーペンターの目論見だったようですが、どこが西部劇なのかよく分からんかったです。すまん!とりあえず砂っけいっぱいの荒野で戦いが繰り広げられたのはわかったぞ。あと、登場人物がやたらと男くさくて主人公がとりあえずいつも不機嫌なカーペンター的アウトローだというのもわかった。
 あー、でも主人公一行に加わっているヴァンパイアに噛まれた少女がかもし出す緊張感はよかったですね。ヴァンパイアになるかならないかの狭間をふらふらしてて、いつ主人公たちに牙を向くかわからんと。(割といつも無防備で強そうに見えない主人公一行もよし!)夜が明けたり暮れたりのスパンが異常に短いのもストーリーがコンパクトにまとまってていいぞ!
 この映画、メインストーリーよりも他に力が入ってた部分があったのは問題かもしれません。いつも不敵な笑みを浮かべてて信用置けないわりに数少ない主人公の味方、モントーヤ*1はわりと主人公食ってるし、一番恐ろしいシーンはヴァンパイアが襲ってくるシーンでも戦闘シーンでもなく、序盤で主人公が黙々と「作業」するシーンだったりします。ハリー・ポッターのスネイプ先生みたいなヴァンパイアはあまり怖くなかったけど、さすがにヴァンパイア集団が勢ぞろいするシーンはカッコよかった。わりと短時間ですが、明らかに力が入ってるのが伝わってきます。迫力と上品さを失わずに、あのシーンを撮るには相当の事前準備が必要だったでしょう。ここは期待してもオッケーです。
 戦闘シーン、ヴァンパイアは実にあっけなく死んでいきます。昼のヴァンパイアは弱すぎ。しかし、そこは主人公一行の弱さでカバーされてます。銃が全然効かないので実に頼りない原始的な捕鯨みたいな方法で戦ってますが、こういった泥臭い戦いは嫌いじゃないです。でも、これは西部劇という印象を打ち消した最大の要因でもあったりして。
 あと、エンディングはかっこいいですね。カーペンターの好きな男らしさがビンビンに溢れたしっぶいラストです。冷静に考えると明らかに理不尽なところもイイね!
 カーペンターの男らしさビンビンの映画が好きな人なら絶対楽しめる映画だし、そこそこに魅力のつまった映画なんだけど、ちょっとパンチが足りなかったかな?という印象でした。

*1:ボールドウィン一家って一目見ただけでわかるね〜