Backlash2004

WWE バックラッシュ 2004 [DVD]
 レッスルマニア明けの特番ですが割りと豪華でお得な構成でした。
冒頭からベノワ対HBK対HHHのかっこいいプロモがガシガシ流れてきますが、たいしたストーリーは作られていません。ベノワへのプッシュが最高点に位置したときの大会です。ここはベノワ熱に浮かれて楽しむべきでしょう。18年間努力もし、実力も折り紙つきのはずなのに報われなかったベノワ。*12003年の特番ロイヤルランブルにて勝ち抜きバトルロイヤル"ロイヤルランブル"戦、一番手入場にて優勝という破格のプッシュを受け年間最大の特番レッスルマニアのメイン戦出場権を獲得し、さらにレッスルマニアでは業界の頂点に立つHHHとHBKことショーンマイケルズといった二人を相手にWWEでは初の世界ヘビー級ベルトを勝ち取ります。レッスルマニア明けのバックラッシュ。地元カナダへの凱旋試合です。相手はまたもHHHとHBK。ベノワは一発屋でないことを証明するために王者として二人を迎え撃ちます。
 もちろん、ミック・フォーリーランディ・オートンの久しぶりのハードコアマッチは本大会のベストマッチです。観ているこっちも痛くなる試合ですが、熱狂すること請け合いです。

シェルトン・ベンジャミン対リック・フレアー

 当時プッシュされていたベンジャミンがフレアーの胸を借りるという構図でしょうか。この試合、冒頭からフレアー節炸裂の展開を見せます。フレアー中心の雰囲気は最後まで変わらず、ベビーフェイス化していましたね。
 試合は楽しかったのですが、ベンジャミンの消極的な姿勢が気になりました。フレアーを立てすぎじゃないのかな。ベンジャミンのアスリートチックでスピーディーな動きにレスリングを織り交ぜた攻撃にフレアーがどうあわせるかは興味がありました。あと、フレアーを立てるにしても、いくつかチャンスを殺してしまった部分があります。椅子を取り出すギミック、トップロープからの攻撃、指金具を外すタイミング。いずれもベンジャミンの工夫次第でフレアーの魅力が生かせたのですが、失敗しているように見えます。

クリス・ジェリコ対クリスチャン&トリッシュ・ストラタス

さすがに実力派同士の試合運びは上手い。
三人それぞれに見せ場があり、レスリングの展開も緩急つけた飽きさせない展開になっています。トリッシュの見せ場としては、前半における要所要所での表情がきちんと作られていてよかったですね。ストラタス・ファクションくらいは炸裂して欲しかったかな。ジェリコは技を出すタイミングがぴったりだね。2003年度MVPは伊達じゃない。

ランディ・オートンミック・フォーリー

最高です。
ミックは受身の人なんですが、今回は徹底して攻撃側にまわっています。
身体をかなり絞ってきていますから激しい受身はとれないのでしょうか。
それでもミック対ミックを見るような今までにない激しいハードコアマッチは戦慄を感じます。きっとこれまでにミック主導で入念な打ち合わせが行われたのでしょう。二人の対立のストーリー自体、かなり長かったですからね。ミックの試合のテンポに合わせたオートンは立派です。
オートンが途中でみせる痙攣は必見です。あれは多分本物でしょう。
テンポもよく、両者のギミックも生きており、プロレスを知っているもの同士の至高のハードコアマッチといえましょう。ハードコアの激しさの生きた濃い試合です。

エッジ対ケイン

お互いの攻守が交替しているだけにみえます。山が見えなかったです。
ケインはエッジの腕を攻める際に間を長くとるべきだったと思います。今試合で最も利用しやすいギミックなんですから、上手く利用するべきでしょう。
エッジもガンガン受身を取って欲しかったですね。ケインの凶暴性を引き立たせ、右手を使えないという弱みを強調すべきです。

クリス・ベノワ対ショーン・マイケルズ対HHH

 観客はWWEが思っていた以上に声援が偏ってましたね。ベビーフェイスなのにブーイングを受けるHBKは非常に試合がやりにくそうでした。結果として、HBKの見せ場が一番少なかった気がしますが、途中で試合の組み立て方を調節するあたりはさすがレジェンドレスラーです。
 HHHに対するブーイングもかなりひどかったですが、HHHはもともとヒールなのでHBKよりはやりやすそうでした。HBKが動きにくい分、ベノワとの闘いに時間を費やしていた気がします。
 ベノワは地元凱旋のためか序盤から攻撃主体で飛ばしまくっていましたね。いきなりクロスフェイス炸裂はびっくりです。対照的にHHHもHBKもフィニッシュムーブはずっと温存していました。観客の声援が激しかったためか二人も受身主体だったので大変だったでしょうが、終盤は綺麗にまとまってよかったです。HHHも最後はダーティーな攻めっぷりをベノワ相手に披露していましたからね。
 HBKへの非難は会場全体が揺れているのではないかと思うくらいの大音響でした。WWEのヘブナーを使った煽りギミックはよくなかったですね。非常にレスリングを組み立てにくい空気を作ったと思います。
 思惑通りにいかない観客の非難などの悪条件にありますが、そこをうまく利用してきちんとした試合を組み立てる頂点のレスラー3人の仕事は必見です。

*1:ベノワはずっと報われなかったということになっていますが、WCWでの世界ヘビー級王座獲得はベノワにとって満足いくものではなかったということでしょうか。それともWCWでの話はすべて黒歴史にしたいというWWE側の意図が入ったオトナの事情というヤツですかね。