パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト(2006)


 僕は基本的にストーリーが練られてる映画より、視覚やハッタリ、勢いで魅せる映画のほうが好きなんですね。だから、小難しそうな『ゲド戦記』よりも、こっちがみたいなあと考えたわけですが。しかし、夏休みに『ゲド戦記』は果たして向いているのだろうか、どうも夏っぽくないよなあと考えるのは僕だけでしょうか。アクションだし、海な映画だし、夏を制するのはカリブの海賊に間違いないと踏んでいた僕ですが、海賊は公開二週目にして、早くもゲドに興行収入一位の座を引き摺り下ろされてしまいました。ジブリ恐るべし。
 理屈ぬきで楽しめる映画かと思ったら、ストーリーよくわからなかった。ビックリした。出てくる登場人物が、ことごとく「お前誰だよ」って感じで、ちょっとついていけない。前作が3年前ですか。結構むかしですね。ストーリー全然覚えてないっすよ。前作思い出してニヤニヤする演出効果を狙っている登場の仕方をするので、なんかこうもどかしい。くやしい、これはくやしい映画ですよ。
 ここでいいわけをさせてもらうと、ストーリーを覚えてないのはいつものこととして、前作の登場人物や人間関係がサッパリ浮かんでこないのは、登場人物のアクが弱いからですよ。さすがにジョニー・デップジャック・スパロウオーランド・ブルームのウィル・ターナーはベタでよかった。しかし、ストーリーによく絡むノリントン、ナントカ総督にナントカ卿は完璧に忘れてました。実を言うと、ヒロインも忘れてた。キーラ・ナイトレイ。今回は男装してるんだけど、顔立ちがどうみても女性で笑った。そんなに線の細い海の男なんていないよ!
 シリーズものアドベンチャー映画というと「ハムナプトラ」がすっごいツボだったから、ついつい「ハムナプトラ」クラスの面白さを求めてしまう。ブレンダン・"ジャングル・ジョージ"・フレイザーが檻でウホウホいってるし、レイチェル・ワイズ可愛いし、蟲が大活躍するし、なによりイムホテップが最高でしたよ。もう悪役なのに超ヘタレなの。アクションの合間の笑いや、ドタバタ感は全て彼が持っていってた気がします。ヘタレカッコよかったよイムホテップ!
 しかし、「ウワー、なんかもう滅茶苦茶でワヤですよ」というドタバタ感があれば、別にキャラクターが誰だかわかんなくてもストーリーが支離滅裂でも全然気にならない。前作はもうどうしようもないくらい覚えてないんだけど、なんかドタバタ感覚がよくて、意外と面白かった気がする!骸骨のギミックだけは覚えてるなあ。あれはよかった。今回は終盤でアレがとんでもないところに行っちゃったり、主役達の人間関係にヒネリが入ったり、おお、いよいよ面白くなるかというところで、全部「次回に続く」になってしまった!まじかよ。2時間半もかけて風呂敷広げるだけ広げて、どのエピソードも「続く」ですか。なんと「主人公達は今回何もやっつけていない」!くっそー、次も見なきゃなー*1
 序盤はたのしかったです。南の島の人食い族から逃げ出すエピソードですね。映画の中で最もコミカルでドタバタしてたし、後ろに座ってた外人さんたちもキャッキャいって喜んでました。やっぱり外人さんはリアクション大きいんだなと感激しましたよ。
 中盤から最後まで布石はあちこちにちりばめられたので、次回作に期待します。

■ストーリー
ジャック・スパロウはどうやら前作で船を取り戻して船長になったらしい。船の名前はブラックパール号。しかし、この船は実は借り物で、幽霊船フライング・ダッチマン号のデイヴィ・ジョーンズ船長と魂を引き換えに手に入れたものらしいのだ。船を貰って13年目、いよいよ魂が奪われるとき。ジャックは「自分の望むものを指すコンパス」を元に事態を打開しようとしていた。そして見つけたものは「鍵の絵」。この鍵の謎が今回の物語の中心となる...。
前作でジャックを逃がしたウィルとエリザベス(キーラ・ナイトレイ)は結婚式の日に死刑を言い渡されてしまった。ジャックの持ってるコンパスを持って帰ってきたら無罪にしてやるよといわれて二人はジャックの下へ。

*1:マトリックスもいい加減レボリューションをみなきゃなあ