大槻ケンヂのプロレス格闘技世紀の大凡戦

大槻ケンヂのプロレス・格闘技世紀の大凡戦! (洋泉社MOOK)
 日本のプロレスファンならあまり楽しめないかもしれない。本書はプロレスファンになって結構日が浅い僕のような読者のほうが得るものは大きいでしょうね。へー、こんなこともあったんだ!という新発見もあれば、明らかに凡戦とこじつけた強引なレビューもあり。プロレスファンになって結構日がたってる人なら発見が少なくてがっかりするかも。そんな人は立ち読みで十分。最後二つのFMWW★INGのコラム読むだけでお腹いっぱいです。インディーのエピソードって、すごく人間臭くていいよね。
 メジャーの団体でも凡戦やハプニングの影に、かならず人間臭いエピソードが見え隠れするわけで。こういうのにコアなファンはよだれをたらして飛びつくわけです。現実と虚構の間に探りこみ、プロレスの試合を再解釈するのも一つの楽しみ方です。ちょっとプロレスに対する穿った見方への道しるべですね。だから、本当にプロレスにはまったばかりの人にも勧められない。プロレスってのはやっぱり熱狂することが醍醐味なわけで、最初に穿った見方を覚えちゃうと、プロレスに対する視点が冷めてしまう恐れがあるわけね。それはもったいない。熱狂する団体や選手があること。この上で凡戦を楽しめる穿った見方を覚えてほしいわけです。
 この本、格闘技、プロレスでも異種格闘技がらみのエピソードが多かったんですが、歴史が浅かっただけに混沌としていたんでしょうね。まさにどのように業界を発展させればいいのか手探り状態。それだけに信じられないような妙なエピソードが続出したんでしょう。とりあげられている歴史も古いものが多いだけにどの凡戦も牧歌的でほほえましく感じたのは僕だけですか?
 最後に気になったのは、伝説のプロレス団体WJが全く触れられていないのはなぜなんでしょうねぇ。活動期間は一年と少しなんですが、格闘技団体が総出でかかっても太刀打ちできないくらい、数々のすばらしいエピソードを持っているんですが、ハテ。