スーパースター100人を語る

第6回:テスト

 春は出会いと別れの季節です。一流の僕にとって春なんて別れ以外の何者でもないわけよ。例年ならでぇっ嫌いな冬が過ぎ去っていくことに歓喜し、新しい出会いにワクワクしているのに、何この寂寥感。何この肌寒さ。春とは思えない天候ですよ!
 前回ブッカーTをとりあげてからは今度はWWEのイケメンをとりあげてやろうかと思ったけど、ぐぅぅっとモチベーション下がったね。肌寒い僕から観て、彼らはストレスを溜めてくれる対象でしかありませんよ。マット・ハーディ騒動もモチベーション下げる要因になりましたね。本当にもうちょっといい解決方法なかったのかねぇ。個人的にマット・ハーディ復帰願い署名運動には参加しました。
 それでも!
 それでも今回はテスト君をとりあげるんです。テスト君といえば、非常に恵まれた容姿が特徴的!長身!マッチョ!ハンサム!とプロレスやるために生まれてきたような才能を持っていたわけですよ。おまけに彼女はアメプロのトップDIVA、ステーシー・キーブラ。恵まれすぎてこちらは生きる気力もわいてきませんよ。
 しかし、しかし。天は二物を与えなかった!彼のレスリングって決して上手くはないんです。当時のタレント部門副社長のジム・ロスに気に入られ、それなりにプッシュされていたんですが、試合をすると、どうも他のレスラーより見劣りがしてしまう。実力が追いつかない地位に押し上げられた人って不幸ですね。もうね、すごく親近感がわきますね。
 彼は面白い経歴があって、彼と絡んだDIVAはみんな成功しているんですよ。T&A時代のトリッシュ・ストラタス、アティチュード初期のステファニー・マクマホン、そして、ストーリーでも実生活でも彼女のステーシー・キーブラ。DIVAでの成功者は非常に数少ないだけに、そうそうたる面々です。アゲマンならずアゲウーマンのように見えますが、もともと格上の女子スターと絡むことになってしまったため、目立てなかった不幸と見ることもできます。
 「イケてないテスト君をなんとか改革しよう」ストーリーは涙なしには観られませんよ。まさに現実と虚構が入り混じったプロレスならではのストーリー。結局テスト君は「テスティクルズ(キンタマ)」というカッコ悪いキャッチフレーズを付けられたままWWEから消えていきましたが、才能に恵まれず、苦悩する人というのは我々に生きる勇気を与えてくれますね。故障したままクビにされたテスト君、病院の窓から枯れ木を眺め、仕事を失った自分を重ね合わせ、寂寥感に浸っているんでしょう。打たれても打たれても苦悩しながら耐える姿というのはプロレスの受身に似てます。テスト君のプロレススタイルはストライカータイプですが、人生のプロレスは間違いなく受身の人。ガンガンバンプをとって、いつの日か何らかの場面で成功してくれるといいですね。
 WWE退団直後、ステーシーと別れたという噂が流れましたが、どうもまだ付き合っているようです。彼女のほうがずっと仕事がデカイし、注目を浴びていますが、卑屈にならずにがんばれ、テスト君!