フライド・グリーン・トマト

フライド・グリーン・トマト [DVD]
 『ミザリー』以来、キャシー・ベイツにはなんだか惹かれるものがあるんですよね。エイリアンといい、グロリアといい、怖いオバハンが大活躍する映画は好きです。中でもキャシー・ベイツの恐ろしさはパッと見怖くもなんともない(むしろある種の可愛さすら覚える)のに、本気を出すと独特の迫力をかもし出すあたりがツボです。『アバウト・シュミット』で久しぶりにキャシー・ベイツを見たので、なんだかまた見たくなったワイということで、今回は『フライド・グリーン・トマト』に挑んでみた次第なんですね。
 作品は女の友情モノ。ひねりもなく、王道をいってます。公民権運動が盛んになる前のアメリカ南部が舞台で、DVや差別といった問題や、主人公二人をつなぐのが、ある人物の死であったりと、結構重たいストーリーですが、ところどころユーモアを交えているので軽快にストーリーは進みます。
 イベントが多くてちょっと物足りなかったかなという印象でした。一つ一つのテーマがそれだけで一本映画が撮れるくらい重たいのに、ささっと流しているのでちょっと拍子抜けです。エンディングまでの流れが見事に爽快なので、鑑賞後さわやかな気分になる映画なんでしょうね。ぐっと構えてみる映画というより、狂言回しのキャシー・ベイツの視点で物語の展開に一喜一憂する適度な距離感を持つ映画かもしれません。
 キャシー・ベイツは、今回は狂言回しの役割なので、さほど活躍しません。感情移入しやすい「可愛いオバサン」を演じきっているので、この人の演技力は一枚岩じゃない、本物だ!と感心した次第です。時々キレて暴れまわりますが、結構物語の筋から飛躍してて不自然。『ミザリー』撮って間もない頃の作品なので、観客へのサービスだったんでしょう。暴れまわることを楽しんでいるかのように見せるキャシー・ベイツの顔はやっぱりキング・オブ・怖いオバハンだなあと感じさせられます。(オバハンならキングじゃなくてクィーンだろという突っ込みはこの際無視。)
 ダメ人間でないし、絶望感もなし、極太の人間ドラマがあるわけでもないので、さほどツボにはまった映画ではないのですが、一つ驚いた点が。以下、ネタばれにつき、伏字なり。
あるシーンで、誰かが殴り殺されるシーンがあったんですね。で、そのシーンの直後、肉のアップからバーベキューが開かれているシーンに移り変わるわけです。取調べに来たシェリフも「ここの料理は旨いな」とかいいながら、おかわりをたくさんするわけです。このシーンを見ながら、「あ〜、これってホラー映画だと人肉バーベキューになる演出だよね〜」と思っていたら、エンディングで本当に人肉バーベキューだったと発覚し、超ビックリ。>」